[2023年5月15日]
公立中高一貫校の入学者選抜においては「思考力・判断力・表現力」が問われる適性検査が実施されるという認識からか、それまで重要視されてきた「知識・技能」が重要視されない風潮が広がっているように感じられる。
おそらく、子育てをする保護者や、受検をする小学生は、時系列で確認してきたわけではないだろうから、実態の変化には気がつきにくいだろうとは思う。
ただ、10年ほど前と比べると、明らかに「知識・技能」が軽視されるようになったと感じている。
小学校で実施されるカラープリントテストのような、基礎的な内容しか問われないテストでは、違いはハッキリしないかもしれないが、応用や発展レベルの「知識・技能」を試すテストでを行えば一目瞭然となる。
具体的には、個々の漢字の読み書きはできても熟語の読み書きができないとか、単純な計算問題は解けても工夫が必要な計算になると正答できないなどがある。
「思考力・判断力・表現力」が問われる入学者選抜においても、「知識・技能」がまったく必要とされない訳ではない。むしろ「知識・技能」は直接には問われなくても、「知識・技能」が備わっていなければ解けないような「思考力・判断力・表現力」問題が出題されるのだと認識するべきである。
「思考力・判断力・表現力」は、公立中高一貫校の適性検査だけで問われるわけではない。都立高校入試の問題でも「思考力・判断力・表現力」を問うことが明記されている。都立高校の入試問題は(思考力型の傾向を強めつつはあるが)、今尚も純然たる学力試験であり、(一部を除き)ほとんどがマークシートによる解答方式である。むしろここ10年でマークシート型に移行した経緯がある
「思考力・判断力・表現力」の掛け声が、新たな学力格差を助長しつつあるのではないかという懸念を、強く抱いている。
5年ほど前なら、漢字の練習や計算の練習は、口を酸っぱくして伝えなくても保護者も子も自ら進んで取り組んだものだ。今は遅々として改善しない受検生が見られるようになった。
探求型授業やアクティブラーニング型授業も、「知識・技能」軽視に拍車をかけているように思えてしかたがない。
それらの授業では調べ学習で書籍やネットなどを参照してよいことが多く、そこで知識や技能は確認できるから、頭の中に知識や技能が定着していなくても大丈夫なような錯覚を、生じさせやすい。
しかし、実際の入試問題を解いてみれば分かることだが、「知識・技能」なくして「思考力・判断力・表現力」が発揮できないことは、ハッキリしている。
新たな学習指導要領で明記された「主体的に学習に取り組む態度」という評価観点が、そのことを明らかにしているのだが、「知識・技能」は詰込み型伝授授業ではもう行わないので、「主体的に学習に取り組む態度」でもって自主的に習得するようにというのが、新しい学習指導の趣旨なのだということを、見逃してはいけない。
合格指導においては、言い放って終わりという訳にはいかないので、「思考力・判断力・表現力」のベースとなる「知識・技能」を徹底的に確認することを指導内容に入れ込むことにしている。
もちろん、ここでの「知識・技能」は、私立中学の学力試験のようなテクニックではないことは、念のため書き添えておく。
当初は戸惑いが大きかったようだが、すぐに意欲的に取り組んでくれるようになったことは、実に頼もしい。
これから適性検査対策に臨む受検生たちも、「知識・技能」を甘く見ずに、「思考力・判断力・表現力」を高度に身につけるためには「知識・技能」必要であるという認識を明確にもった方が良い。
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=お知らせ5=
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