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三田学院

[2023年5月19日]

【都立中】適性なのか、学力なのか

私立中高一貫校は学力試験で、公立中高一貫校は適性検査だと考えるのは、もはや、かなり危ない。

都立中などの難関公立中高一貫校は、受検生のレベルが上がって、選抜のために適性検査の難易度を上げざるをえなくなったことで、適性検査を突破するにはより高い学力が必要になった。

時を同じくして、難関私立中高一貫校の入試問題は、暗記やパターン解法で挑んでくる、実は学力のない受験生を振り落とすために、より高い思考力を問う入試問題を出題するようになった。

学力試験と適性検査では、見かけ上の出題パターンは違うので、入試問題を一見しただけなら、別物に見えてしまうかもしれないが、いざ解いてみると、学力試験の定義と、適性検査の定義が、それぞれ何だっかかが判然としなくなるほど、両者が問いかける内容がオーバー・ラップするようになってきている。

学力試験では思考力を問う傾向が強くなり、適性検査では高い学力を問う傾向が強くなり、以前は完全に違う世界かのように思われていた私立中受験と都立中受検が、実は別世界のものではなかったということが、しだいに認識されようとしている。

繰り返すが、出題形式は違うので、表面的には相変わらず別世界であり続けてはいる。

この春に2年目を迎えた「大学入試共通テスト」(以下、「共通テスト」)だが、形式的には「センター試験」の姿を装いながらも、出題傾向は大きく変化したことが、しだいに知れ渡るようになってきた。

実力のある予備校講師などはすでに勘づいているようだが、「共通テスト」では、対策をパターン化できないようにしようとする出題意図が、強く働いている。

つまり、知識や用語や解法の暗記だけでは正答できないような出題を目指して、作問されるようになったという意味だ。

これは、大手塾や大手塾の講師泣かせの事態ではある。

もともと大学入試は、特にMARCHや関関同立以下の私立大学の多くでは、30年ほど前からほとんど変わらないような、旧態依然とした知識問題中心の入試を行っている。これもいよいよ大変革期を迎えるであろう。

最も早く大学入試改革に着手したのは慶應義塾大学である。文系学部で国語入試を廃止し、数学重視に舵を切り、AO入試をより早く導入した。

最近になって急ピッチで大学入試を改革を進めているのが早稲田大学である。看板学部である政治経済学部で、共通テストを必須化し、数学も必須化し、そして総合問題という名の「適性検査」(文系総合問題)のような入試科目を導入した。

これにより伝統的な私立大学文系受験生(特に、英・国・社の伝統的文系3教科受験生)は合格しずらくなり、出願者数そのものは大きく減少したが、もしろ難易度はさらに上昇して、数年前まで私文最難関の座を明け渡していた慶應義塾大学経済学部から、私文最難関の地位を、ふたたび取り返した。

英語と小論文や、数学と小論文で受験が可能な、慶應大学総合政策学部の難易度も、私立大学文系学部の最高峰の一角を続けている。ここの小論文は、都立中の「適性検査作文」とほぼ同じ出題形式である。資料や図表を適切に読み解くことと、そのことに対する自分の考えを論理的に表現できることが問われる。

何が言いたいかというと、

学力試験型の受験指導だけでも、適性検査型の受検指導だけでも、これからの入学試験を突破することは、できなくなるだろうということだ。

少し前に、適性検査を突破するためには、学力をしっかりつけてから適性検査問題に臨むべきだという趣旨のことを書いたら、趣旨を短絡的に理解をされてしまったのか、大手私立中学受験指導塾に小5まで通ってから、小5の後半や小6の初めに適性検査指導塾に転塾するのがよいと思った人が、いたようである。

そんな小手先のことで対応できるものではない。

学力試験対策だけでも、適性検査対策だけでも、学力試験対策と適性検査対策をただ組合わせただけても、対応することはできない入試問題に、すでになっているのである。

まあ、ごく少数の上澄みの超優秀な受験生や受検生なら、どんな対策をしても、仕上がるかもしれない。

しかし、合格圏に入れるか入れないかが判然としない受験生や受検生は、対策をし誤れば、今後はよりハッキリと、奈落の底まで転落することになるだろう。


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