[2023年8月14日]
高校受験は中学受験よりも有利であるかのような主張を見かけたが、果たしてそれは正しいであろうか。
いくつかの主張を例にして検証してみよう。
・大学付属校は、中学受験より高校受験の方が合格しやすい、という主張。
まず、偏差値を確認してみよう。
慶応義塾普通部中学受験偏差値:74
慶応義塾普通部高校受験偏差値:76
法政第二中学中学受験偏差値:69
法政第二高校高校受験偏差値:68
高校受験の方が平均が高くなるため偏差値がインフレするので、高校受験の方がいくらか平易である。
次に、内申基準を確認してみよう。MARCH付属の場合、一般入試より推薦入試の方が定員が大きい学校が多いからだ。
法政第二高校高校受験内申基準:単願推薦の場合、9科44点(4が1教科まで、残りすべて5)
法政国際高校高校受験偏差値:68
書類選考定員:210人
学科試験定員: 50人
思考力入試定員:10人
ほぼ推薦入試(書類選考)で入学者を選抜していることが分かる。
高校受験で大学付属校への合格はかなりの狭き門であると言えよう。
・東京の公立中学校は日本一だ、という主張。
何をもって日本一なのか不明である。ICT環境のことであろうか。それも東京が日本一かどうかは怪しい。ICT環境整備に力の入っている自治体は全国に数多くある。
むしろ、都内は中学受験率が高く地元公立中学校に優秀な生徒が多くは残らない。このため、中学受験が一般的でない地域の公立中学校に比べて、模範となるような同級生が少なくなる。結果として学業に熱心でない生徒の割合が相対的に高くなる。環境として優れているかどうかは意見が分かれそうだ。
・多くの高校から進学先を選べる、という主張。
東京都教育委員会では、都立高校や私立高校などを合わせて、中学卒業見込み者の95%以上(実質的にはほぼ100%)の受け入れ体制を整備しているので、学業成績や出席日数に課題がなければ、どこかの高校には進学することは可能ではある。しかし、どの高校でもよいという受験生はごく少数であろうから、魅力的だと思う高校に誰もが進学できるわけではない。
中学受験で中高一貫校に進学する生徒が増えれば、当然に高校募集枠は絞られる。特に中学受験で十分な生徒が確保できた私立中高一貫校は、高校受験で確保しなければならない生徒数が減るため、高校受験の難易度は高騰する。おなじ学校でありながら高校受験の方が合格が難しい私立高校は、中学受験が過熱する前から多い。
私立や国立に押されて低迷した一時期と比べ、都立高校は進学校を中心に教育内容を改革したことで、人気も難易度も上昇しており、都立高校進学校に進むのは狭き道となっている。
どこでもいいので都立に進みたいというのであれば、中学受験より高校受験の方が広き門となる。しかし、誰もが多くの人に魅力的だと思われている都立高校に合格できるとは限らない。
これでも、高校受験の方が中学受験よりも「メリットが多い」と言えるのであろうか。
東京や東京に隣接する大都市圏においては、むしろ逆だと考えた方が安全ではないだろうか。
もちろん、何らかの理由で中学受験をしなかったか、何らかの理由で中学受験をしたのに地元公立中学に進むことになったら、高校受験をせざるをえない。
その際に、高校受験をするのなら、高校受験には高校受験特有の苦労があることを、知っておくべきだろう。また、希望するかどうかに関係なく、内申点が取れなかったり、高校受験レベルの学力試験には対応できないなど、高校受験を回避して中学受験をしておいた方が得策な人がいることも、知っておくべきだろう。
=お知らせ1=
これから鹿児島県立楠隼中学校を目指す受検生は、共学化や高校募集停止や自宅通学可についての詳細が判明するまでの当面の間、「中堅私立中チャレンジコース」(男女ともに募集)でお引き受けします。
尚、「都立中合格コース」では、楠隼中を併願受検する受検生向けに、今まで通り楠隼中併願合格指導を実施します。
=お知らせ2=
秋から開講時間帯の延長を計画しています。これに伴い、遅い時間帯での通塾をご希望される中学生(高校受験生)を追加募集する予定です。今年度限りの特設コースによる募集も検討しています。
=お知らせ3=
体験授業をご希望されます方は、PC版トップページの「インフォメーション」→「体験授業・学習相談」→「体験授業のお申込方法」を、事前にご確認いただいてから、ご連絡をお願いします。
*「24時間WEB予約」は、ご利用をご遠慮ください。
=お知らせ4=
「教室案内」のチラシを「教室の入口ドアの外面に置く」ことにしました。ご自由にお持ち帰りください。ドアノックやインターホン呼び出しの必要はありません。
=お知らせ5=
こちらからの返信メールにお気づきになられない方が多いようです。いつもはご覧になられていないホルダーなども、ご確認くださいますようお願いします。
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