[2023年8月20日]
現在在校する高校1年生が卒業した後に、段階的に共学化する計画が発表された鹿児島県を代表する公立中高一貫校の楠隼であるが、塾生以外の受検生保護者や、塾生ではなかった楠隼生の保護者から多くのご質問をいただいていいて、個別に回答できる余裕はないので、まとめて私見をここに載せておきたい。
まず、共学化や、高校募集停止や、通学可の背景について検討してみたい。
東京都など人口減少を肌で感じられない地域に住んでいると気がつかないことだが、国内の多くの地域で人口減少は大きな課題となっている。特に少子化は深刻で、地方の多くの公立高校が定員割れしたり定員割れの危機にある。
公立小学校や公立中学校などは統廃合が進んでいるが、入学試験を経て入学することが前提の公立高校や公立中高一貫校は、隣接する公立高校などとの統合は容易にはできない。
名門進学校であっても少子化の影響は受けることになる。
ただ何も対策をしないでいれば、名門公立高校や名門公立中高一貫校であっても、少子化の影響を免れることは難しい。
鹿児島県では、鶴丸などの超名門公立高校を除けば、多くの公立高校が定員割れの状況にあり、鹿児島県は公立高校の統廃合に頭を悩ませている。
こうした背景の中で持ち上がった楠隼中学高校の共学化や高校募集停止や通学可の計画は、今は人気を博していていても、いつなんどき少子化の影響に呑み込まれてしまうかもしれないという教育行政責任者の危機感の表れだと分析している。
鹿児島県における公立高校の定員割れは実に深刻で、地元新聞や地元放送局でもしばしばニュースになっている。
こうした中で、中長期的な観点から、楠隼中学高校の存続を目指すなら、共学化や高校募集停止や通学可は、避けて通れないと考えた方がよさそうである。
在学中に統廃校などと言うことになれば学業への影響を心配なのは当然であるし、卒業後に統廃校となれば最悪の場合には母校が消えることになる。
素晴らしい教育環境を築き上げてきた楠隼中学高校であるがこそ、現実的な存続計画により、中長期的にその存在価値を残していくべきであろう。
続いて、最も懸念の声が多い共学化だが、共学と別学のメリットとデメリットを考えなければ、総合的な評価は難しいのではないかと思う。
まず、公立高校や公立中高一貫校で別学となっている学校は極めて珍しく、共学の公立高校や公立中高一貫校であっても、素晴らしい大学進学実績を上げている学校が多いことを、知っておくべきだろう。
都立日比谷高校
都立小石川中等教育学校
などは、大学進学実績が秀逸な共学の公立学校の代表格である。
私立学校では、渋谷教育学園幕張中学高校などは、別学の名門私立中高一貫校の大学合格実績を脅かす存在にまでになっている。
よって、一般論として、共学だから学業に支障が生じるという懸念はないと考えた方がよさそうである。
ただ、男子校が向いている男子や、女子校が向いている女子はいなくはないから、そうした生徒は別学を選んでもよいだろう。
ただ、殆どの場合、思い込みでしかないかもしれない。タラレバになるから検証も難しい。
難関男子校は数学の進みが早く、難関女子校は英語の進みが早いことが多い。一方で、難関共学校の場合は両方が早い場合が多い。
こうしたことは、共学か別学かを選ぶ上で考慮してもよいだろうが、進度が天と地ほども違うわけではないので、共学か別学かよりも、その学校の授業レベルがどの程度に高かったり早かったりするかを考慮すれば済む話しではある。
男子校であれば女子の目を気にする必要がなく、女子校の場合はその逆となるが、実態としては共学校でも男子は男子で集まり、女子は女子で集まるから、これも影響は限定的かと思われる。
むしろ、大学生や社会人になってから、女子との接し方を経験していないことや、男子との接し方を経験していないことで、上手く集団の中で立ち回れない人が出てくるかもしれず、それを心配する人も少なくない。ただ、これも個人差が大きいと思われる。
別学の方が成績が上がるのではないかという期待だが、これも個人差が大きいので、誰しもがそうなるとは限らないし、逆になる可能性もあるので、一般論として決めつけるのは適切ではないと考えている。むしろ、どちらがより向いていそうかで、判断するしかないであろう。
海外は共学化ではなく別学化が進行しているというご意見も頂戴したが、実例や根拠が示されていなかったので確認できない。地域により大きく状況は違うのではないかと思われる。
むしろ、日本が模範としてきたようなヨーロッパや北米などは、共学の方が一般的だと認識している。
楠隼に限らず、大都市圏ではない地域の公立中高一貫校は、これからもしばらく少子化による逆風を乗り越えて行かなければならない。これは近い将来には大都市圏や人口密集地域でも起こり得ることだと考えていた方が安全である。
どうすることが魅力的な公立学校を中長期的に存続させ成長させることにつながるのか、受検生の関係者だけでなく、みなで考えて行かなければならない時代に突入しているのである。
=お知らせ1=
秋から開講時間帯の延長を計画しています。これに伴い、遅い時間帯での通塾をご希望される中学生(高校受験生)を追加募集する予定です。
=お知らせ2=
これから鹿児島県立楠隼中学校を目指す受検生は、共学化や高校募集停止や自宅通学可についての詳細が判明するまでの当面の間、「中堅私立中チャレンジコース」(男女ともに募集)でお引き受けします。尚「都立中合格コース」では、楠隼中を併願受検する受検生向けに、今まで通り楠隼中併願合格指導を実施します。
=お知らせ3=
体験授業をご希望されます方は、PC版トップページの「インフォメーション」→「体験授業・学習相談」→「体験授業のお申込方法」を、事前にご確認いただいてから、ご連絡をお願いします。
*「24時間WEB予約」は、ご利用をご遠慮ください。
=お知らせ4=
「教室案内」のチラシを「教室の入口ドアの外面に置く」ことにしました。ご自由にお持ち帰りください。ドアノックやインターホン呼び出しの必要はありません。
=お知らせ5=
こちらからの返信メールにお気づきになられない方が多いようです。いつもはご覧になられていないホルダーなども、ご確認くださいますようお願いします。
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