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三田学院

[2023年9月11日]

【都立高】女子有利に動く高校入試

有名大手予備校講師が「女子は中学受験して私立中高一貫校に進んでおいた方が良い」と発言したことで、物議をかもしているようだ。

数年前、このスタッフ日記でも、高校入試では女子の志望校の選択肢が限られる趣旨の記事を書いた。

しかし、それは数年前までのことだ。

難関私立女子校が次々に高校募集を停止し、伝統私立女子校が次々に共学化して、女子の定員が減少する一方で、都立高校は男女別定員を堅持していたために、高校入試で女子が激戦化していたためだ。一方で、私立中学入試では女子は全入時代を迎えていたので、女子は高校受験を選択するよりも中学受験を選択した方が有利だと判断したためだ。

その後、情勢は大きく変化した。

最も大きな変化は、都立高校の男女別定員の緩和である。

東京都教育委員会は、これまで一部の高校で実施していた男女別定員10%緩和を、20222年度から原則全都立高校へ導入し、2023年度には緩和率を20%に拡大し、そして2024年度入試からは男女別定員の完全撤廃を計画している。

つまり、都立高校入試における制度的な女子不利の状況は、完全になくなるということだ。

むしろ、これまで相対的に有利だった男子が、実質的に不利に転じる。

男子は私立中学入試ではもともと極端に不利な状況が続いていた。男子校と共学校の男子定員を合わせても、私立中学入学希望の男子は約80%しか入学できなかった。この状況は今後も当面は変わらない。

私立中学入試で全敗する男子は、毎年約20%いたのである。

一方で、私立中学入試における女子は、見栄を張ったり、我がまましなければ、併願校のどこかには合格できる状況が続いていた。今後も続くと予想される。

高校入試における女子の不利は、制度的には解消に向かう。

少子化が続くので一時的になる可能性はあるが、逆に、男子の不利は中学入試だけでなく高校入試においても際立つことになる。

話しを戻すが、有名大手予備校講師の発言は、少なくとも数年古い情報による判断だと言わざるを得ない。

入試状況は常に動く。

ただし、女子が有利であるためには、これまで通りに「高内申」で「コツコツ受験勉強」を続けれらた女子に限られる。多くの女子にとって、さして有利な状況には動かない。

もともと、全体の傾向として、女子は高内申低偏差値、男子は低内申高偏差値の傾向があった。都立高校は内申30%、学力試験70%である。高内申なだけでは合格は難しい。

低内申で低偏差値の女子は、そもそも、制度的な女子有利への変化を享受できない。低内申だが高偏差値の男子と、男女混合となった定員で、競い合うことになるからだ。

中学受験はせずに高校受験を目指す女子こそ、男子以上に、小学校の内からしっかりと学力を醸成しておくべきである。

保護者は、適切で適時な情報を入手できるような体制を、しっかりと整えておくべきだ。大手の営利誘導情報に惑わされていたら、入試制度がどう変化しても、子の成功は期待できない。



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