[2023年9月28日]
人口減少期に入った日本だが、東京に限れば、人口はほぼ横ばいか増加である。
特に、小中学生の人口は増えているというのが実態だ。
東京都教育委員会が発表した都立学校の教員不足調査から、明らかになったことだ。
中学受験率が上昇しているにもかかわらず、公立中学校の生徒数も減少していない。
中学受験率が上昇している要因の一つが、小学生の人数が増えていることだということも、判明した。
必然的に、難関都立高校や、すべてが難関の都立中学は、激戦が続くことになる。
東京を中心とした首都圏への人口集中は過酷になりつつあり、それが都心部にある難関私立大学の競争激化にもつながっている。
特に首都圏の優秀な大学受験生が殺到する早稲田大学や慶應義塾大学の看板学部の難易度は、保護者の想像を遥かに超える状態にある。
全国的にみれば、少子化と新設私立大学の増加で、私立大学全入時代に入っているが、最難関私立大学はまったくの例外となっているのだ。
一方で、早稲田や慶應義塾を除けば、それほど過酷ではない。SMARTやMARCHに属する難関校は、表面上は過酷だが、早稲田や慶應義塾と比べれば、それほど過酷とまでは言えない。
過酷に見えるのは、地方の国立大学が、地方の急激な人口減少の影響を受けて、かつてほどの難関ではなくなったために、相対的に難易度が上昇したかのように見えるのが理由である。
首都圏の有名私立大学は難易度が総崩れしないように、指定校推薦を全国にばらまいたり、総合型による入学者比率を高めたりして、難易度の維持に躍起になっているのが実態だ。
学生募集に失敗すれば、いつFランク大学などと同じような厳しい状況に追い込まれるかもしれないという危機感が、強まっているのであろう。
危機感がないか、危機感が低いのは、地方国立大学である。
国立大学全般に言えることだが、教育環境や研究環境が整っていれば、また、過去の名声が残っていれば、自ずと優秀な学生が集まると、まだ漫然と思っているのかもしれない。
独立行政法人化はしたが、名門私立大学や優良民間企業のような危機管理の経験やノウハウはないだろうから、人口減少が厳しい地域に存立する地方国立大学は、やがて厳しい状況に追い込まれるかもしれない。
原因として、人口集中が進む大都市圏の大学受験生が、地方国立大学を選ばなくなったことが、大きい。
国立大学の授業料がしばらく前に大幅に値上げされたことと、一人暮らしの生活費が年々高騰していることが、影響していると考えられる。
地方国立大学に1人暮らしをして通うよりも、私立大学に自宅から通学する方が、費用がかからないのである。
医学部や薬学部や歯学部や獣医学部なら、まだ地方国立大学へ進学する経済的なメリットというか合理性はあるが、文系学部の場合は、地方国立大学より自宅から通学できる私立大学の方が安いケースの方が多くなったのである。
文部科学省が、ことあるごとに、地方国立大学はなくしてもよいのではないかとか、地方国立大学の教員養成学部や文系学部はなくしてもよいのでないか、などと提言するのには、こうした背景もある。
さて、首都圏に住む大学受験生や保護者からは、かつてとは違う景色が見えているようだ。
首都圏の国立大学はどこも難関で合格が非常に難しいとか、早稲田や慶應義塾はこんなに合格難易度が高かっただろうかとか、そんな嘆きに満ちた景色だ。
大学受験指導塾の多くにとっては、日東駒専や大東亜帝国しか合格できそうにない大学受験生に、MARCHへの合格の夢を見させて、がっぽりと稼ぐというのが、基本戦略となっている。
高校生も保護者の多くも、しっかり努力さえすれば、MARCHなら届くのではないかという、ほとんど根拠のない妄想に取り憑かれているようにさえ見える。
勉強が苦手ではない程度では、MARCH以上への合格は難しい。
小学校の高学年になる頃には、その辺は見えてくるはずなのだが、人は往々にして、自分に甘く、子に甘く、そして業が深い。
多くは、ただ悪徳予備校を儲けさせるだけで、受験勉強の集大成が終わる。
そして、大学を卒業したことに見合わないような仕事にしか就けずに、人生を終えて行く。
そろそろ、悪徳楽手塾や悪徳予備校を肥やすだけの受験対策は、見直した方がよいのではないだろうか。
まあ、そこにつけこんで、最近は、AOや推薦で有名私立大学合格の夢を見させる悪翼AO推薦専門予備校が急速に増えているので、見直し方をしくじると、別の悪徳予備校に騙されることになる危険性があることも、指摘しておこう。
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