[2023年10月11日]
適性検査に関する誤解は、過去にはかなり多かったが、今となってもまだ完全には払拭された感はない。
・適性検査は小学校内容からしか出題されない
都立中に限らず多くの公立中高一貫校の適性検査は、小学校授業を履修しただけでは解けない。私立中学受験で定番の特殊算や数論や数列や図形の難問は出題されないが、だからといって簡単ではない。
・適性検査は私立中学の学力試験問題より平易である
私立御三家中に合格した受検生でも不合格になることがあることが、この命題の誤りを端的に表している。
・私立中学入試の思考力問題が適性検査に近づいてきている
私立中学の思考力問題と、適性検査型の思考力問題は、問われる思考力が全く違う。思考力が意味している内容が違うとも言い換えられる。実際に問題を解いてみれば分かるはずだ。
・適性検査は適性検査問題に慣れれば解けるようになる
適性検査はパターン学習をくりかえしただけでは全く歯が立たない。いくら適性検査問題を繰り返し解いても、初見の適性検査問題を解けない受検生が数多くいることが、その証拠である。
適性検査に秘められた出題者の意図を正確に読み取り、知識と知能をフル動員して、出題の意図に沿って解答できなければならない。
そこで必要なのは、常日頃から、身のまわりの諸課題に、持てる力を総動員して対処できる姿勢と能力を、超小学生レベルにまで養っておくことである。
実体験や実経験が問われるとは、このことを意味する。
・倍率が高いから合格できない
大手塾による洗脳から解き放たれるべきである。定員割れでもない限り、倍率が低くても不合格になる受検生はいる。倍率が高くても合格する受検生はいる。倍率が高いから合格できないのではない。実力が足らないから合格できないのである。倍率と合格難易度は直接には関係ない。私立難関校の倍率は高くはない。だからといって挑戦しても、実力がない受験生が合格することはない。
・公立中高一貫校の受検はコスパがよい
大手塾に高額な授業料を払い、低い合格率しか期待できないなら、コスパは最悪である。低い合格率しか期待できないのに、入学までに高額な塾費用をかけたなら、複数日程で複数回受験できて、最終的にはどこかには入学できる私立中学受験よりも割高かもしれない。
高校受験で出直すことまで考慮すると、さらに割高感が増す。
大手塾からの都立中受検生の多くは、結局のところ、中学から平凡な私立中学か、高校から平凡な私立高校に進むことになる。中学高校6年間の授業料の期待値(予測値の平均)は安くはない。
公立中高一貫校がコスパが良くなるのは、公立中高一貫校への高い合格率が期待できる場合に限られる。
大手塾の塾生の第一志望合格率は、私立受験も公立受検も、せいぜい20%から30%くらいだ。私立中受験なら第一志望に残念になっても、第二志望や第三志望に合格できれば、ギリギリ高い塾代を正当化できるかもしれないが、公立中高一貫校の受検機会は原則1回限りなので、合格率が20%〜30%程度しかないのなら、高い塾代をまったく正当化できない。
この他にも思いつくことはあるが、今日はこれくらいにしておく。
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