[2023年10月20日]
都立中への合格を目指す受検生親子にとって、倍率がどうなるかは気になるところであろう。
超低倍率や定員割れでないかぎり、倍率と難易度は関係ないことは、これまでに何度も説明をしてきたし、証明もしてきたが、受検生親子にとって過度に倍率が高くない方が心理的な安心材料になるだろうということまでを、否定するつもりはない。
倍率に影響を及ぼす主な要因を、プラス要因と、マイナス要因に分けて、列挙しておこう。
■プラス要因(倍率アップ要因)
・都立中の教育内容の魅力
・都立中の授業料の安さ
・地元公立中学への不安や警戒
・高校受験対策費用の高さ
・高校受験における親の管理の難しさ
・私立中学受験における早期合否決着化
・家庭所得の伸び悩み
・保護者の経済的な老後不安
・物価高騰
■マイナス要因(倍率ダウン要因)
・合格難易度の高さ
・受検機会の少なさ
・独特な適性検査問題の攻略の難しさ
・難関や上位の私立中との併願の難しさ
・都立中の実教育費の高さ
・高校受験実質全入の誘惑
・大学受験実質全入の誘惑
・受検対策費用の高騰
・受検の費用対効果の悪さ
・少子化
・家庭所得の伸び悩み
・保護者の経済的な老後不安
・物価高騰
このうち以下の項目は、個々の受検生の家庭の事情によってはプラス要因にもマイナス要因にもなりうるので、ニュートラル要因と捉えた方がよいかもしれない。
・家庭所得の伸び悩み
・保護者の経済的な老後不安
・物価高騰
倍率を低下させた最大の要因は、ワンチャンス狙いや超節約受検組には合格チャンスがないことが、広く認識されるようになったことであろう。
さらに、大手塾の合格率の低さも、広く認知されることになったことが大きいであろう。付随して、入学前に必要となる大手塾へ支払う受検対策費用の費用対効果が悪いことも、受験倍率を引き下げる要因となろう。
一方で、私立中受験生は、2月2日までに入学希望私立中から早期に合格を取れた場合は、2月3日に私立中を受験する必要がなくなって、都立中に挑戦できるようになるので、事前にダブル出願しておく妙味がある。
私立中入試も厳しさを増していて、2日までに芳しい成果が上がらなかった場合や、1日受験校や2日受験校の合格発表待ちなどの場合は、2月3日の都立中入試は欠席する私立中受験生も多いので、出願倍率には影響があっても、受検倍率への影響は相対的には大きくないであろう。
都立中の倍率は、中長期的には、難関や名門の国立大学附属中の倍率に近づいていくと考えられる。
中長期予想:倍率約3倍
勿論、短期的なかく乱要因はいくらでも起こり得るので、一直線にこの倍率へ近づいていくのではなく、多少のボラティリティは見込んでおく必要があろう。
都内の私立中学の総定員が約25,000人であるのに対し、適性検査入試を実施する都内の公立中高一貫校(都立中)の総定員は約2,000人と、10分の1以下の規模である。
このため、倍率低下を受けて、今後は、都立中の受検指導から撤退する、都立中受検指導を専門とする塾や家庭教師や教材会社や模擬試験会社が、出てくる可能性がある。完全に廃業ということではなく、高校受験指導などの別セグメントへ業態転換する形式での撤退することになろう。
需要の縮小、市場の縮小、顧客の減少が、続くからである。そして、縮小や減少が行きつくところまで進めば、需要や市場の小ささから、営利企業にとっては旨味がほぼなくなってしまうからである。
適性検査は問題は、どんどん難易度が上がり、さらに複雑化してきており、今後もその傾向は続くであろうから、都立中受検生は、そのことを含め、さらなる受難の時期を迎えようとしている。
このことも、さらに倍率を低下させるマイナイス要因と、捉えておいてもよいかもしれない。
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