[2023年12月7日]
東京都が発表した私立高校授業料無償化の所得制限撤廃に続いて、本日は国から大学授業料無償化が発表された。
授業料だけでなく、入学金も、無償化の対象となる。
ただし、3人以上の子供がいる多子世帯が対象となる(注)。
注)すでに世帯子供人数に関係なく世帯所得に応じて大学授業料を段階的に無償化する国の制度がスタートしているが、今回の制度拡充が実施されれば、世帯子供人数が3人以上の場合は所得制限なしに支援が受けられるようになる見通し。現行制度の詳細は「独立行政法人日本学生支援機構」のホームページなどを参照されたし。
物価高などによる消費縮小への対策を目的とした都の政策とは違い、この国の政策は少子化対策の側面が強い。
3人以上の子供いる世帯が対象となるのは、2人以下の子共しかいない世帯を支援しても「少子化対策」にはなりにくいからだろう。
出生率は1人台で推移しているが、これは1人っ子が多いからではない。子供がいる世帯の子供の平均人数は2人を超えている。生涯に1人も子供を産まない女性(世帯)が多いから、出生率が1人台になっているのだ。
少子化対策としては、子供を設けることができる世帯(女性)には、可能な限り3人以上を設けてもらえる環境整備が有効だと判断したのではないかと思われる。
子育てに伴う経済的負担で、子供の人数が多いと、大学に進学させるための負担感が強いことに、対応したものと考えられる。
しかし、子育て費用は大学の授業料や入学金だけでは済まない。国の政策がどれだけ実効性があるかは、今後検証されることになるだろう。
ところで、今週の月曜日に書いた「二極化ではなく多極化」の裏付資料を、ここで紹介しておきたい。
「令和4年度東京都福祉保健局基礎調査」である。
年収1500万円以上〜年収の上限無制限:11.8%
年収1200万円以上〜1500万円未満:10.8%
ここまでで、上位約23%である。この23%は中学受験して私立中高一貫校に進学する比率に近い。この辺りまでが、子の全員をムリなく私立中高一貫校へ通わせられる世帯と考えられそうだ。
年収1000万円以上〜1200万円未満:15.9%
ここまでで、上位約40%となる。この年収1000万円以上〜1200万円を下回ると、子供を私立中高一貫校に通わせることには、強く経済的負担を感じる可能性がありそうだ。
年収800万円以上〜1000万円未満:19.8%
ここまでで、上位約60%になるので、この年収800万円以上〜1000万円未満の世帯こそ「中流の中」になるだろう。子供の全員を私立中高一貫校に通わせることは家計的に厳しいという判断になりそうだ。
年収600万円以上〜800万円未満:18.7%
この世帯は人並みの生活はできていると感じられるかもしれないが、教育投資に回せる資金はほとんど捻出できないと感じているかもしれない。
年収500万円以上〜600万円未満:8.4%
年収400万円以上〜500万円未満:6.3%
年収300万円以上〜400万円未満:4.5%
年収300万円未満:0.9%
年収600万円未満となる、これら4のゾーンの合計が、下位約20%となる。おそらく日々の生活そのものに、余裕がないと感じているのではないかと想像される。
よって、子供全員を私立中高一貫校に通わせても大丈夫なのは、年収約1200万円以上と考えた方がよさそうだ。
ただ、私立高校授業料無償化の所得制限撤廃や、そもそも所得制限を設けない大学授業料の無償化をふまえれば、年収1100万円〜1150万円あれば、子供の人数にもよるが、子供の全員を私立中高一貫校へ進ませても、自力でぎりぎり、やりくりができるのではないだろうか。
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