[2024年4月16日]
大学入試における一般入試が令和7年度から大きく変わる。
特に変化が大きいのは、数学と社会と国語である。
今回は社会の新入試について確認しておきたい。
新課程として、今年度の高校3年生から、地理総合、歴史総合、公共が、高校社会の必須科目となった。そして地理探求と世界史探求と日本史探求が新設されて、地理BおよびA、世界史BおよびA、日本史BおよびAが廃止された。歴史総合では世界史と日本史の近現代史をともに学ぶ。
これに伴い、大学入試共通テストにおける社会の選択科目が大きく変わる。選択可能な組み合わせは以下の通りとなる。
地理総合・地理探求
歴史総合・世界史探求
歴史総合・日本史探求
公共・倫理
公共・政治経済
地理総合・歴史総合
公共・地理総合
公共・歴史総合
ただし、地理総合や歴史総合や公共を含む組合せを2回選択できないので、例えば地理総合・地理探求と地理総合・歴史総合という2科目選択はできない。公共・倫理と公共・政治経済も選択できない。
国立大学文系学部では、2科目選択、理系学部は1科目選択がほとんどである。
私立大学文系学部では、日本史か世界史しか選択できない大学や学部が多い。
このため文系学部受験生は社会では日本史か世界史を選択することが多いが、歴史総合の新設により日本史を選択しても世界史の近現代史が出題範囲になるため、受験対策負担が大きく増えることになる。
地理を選択すればそうした影響はないが、私立大学では、受験できない大学や学部が多くなるというデメリットがある。政治経済はさらに選択肢が狭まり、倫理ではほぼ受験できる大学や学部がなくなる。
理系学部の場合、国公立大学では二次試験に社会が試験科目となる大学や学部はほとんどなく、基本的に共通テストさえ乗り切れればよい。
これまで理系受験生は、受験対策の負担が小さいという判断から、地理を選択する受験生が多かったが、旧課程の倫理・政治経済が新課程では公共・倫理か公共・政治経済になったことから、個々の受験生の相性や好みにもよるが、地理(地理総合・地理探求)よりも公共・倫理か公共・政治経済の方が負担が軽くなるかもしれない。
そもそも地理(地理総合・地理探求)は、ノー勉でも壊滅的な得点にはなりにくいが、相当やりこんでも80%や90%が取りにくい科目であった。しかも得点率が安定させずらいという最大のデメリットがあった。今後も大きな変化は期待できない。
このため、理系受験生には、対策時間が少なくてもそこそこ得点しやすい地理に人気があったが、今後は地理を選択するリスクが高まる。
なぜなら、歴史総合・世界史探求も、歴史総合・日本史探求も、公共・倫理も、公共・政治経済も、しっかり対策をすれば高得点が目指せるし、得点率も安定させやすいからだ。
特に、歴史総合・世界史探求と歴史総合・日本史探求は得点率を安定させやすく、公共・倫理と公共・政治経済は高得点率が獲得しやすい。
地理では、大負けしにくいが、大勝もしにくい。
難関大学を目指した競争で勝利を目指すなら地理はかなり危険である。もちろん、地理が大好きで外したくないなら好きにしてかまわない。
よって新課程では、以下の組合せが安全となる。
理系は、公共・倫理か公共・政治経済
文系は、歴史総合・世界史探求か歴史総合・日本史探求と、公共・倫理か公共・政治経済
特に、難関国立大学と、共通テスト利用や併用の最難関私立大学(文系)を目指すなら、この選択が最善の策となろう。
歴史総合・世界史探求か歴史総合・日本史探求であるが、英語が得意で海外に興味があるなら歴史総合・世界史探求が、国語が得意で古文が得点源なら歴史総合・日本史探求が、相性がよいことが多い。
ただし、日本史は中学受験でも高校受験でも出題されてきたので、流れや概略を理解できている受験生が多く、そうしたライバルに勝つためにはより深い対策が必要になる。日本の歴史に限定されるため細かいことまで理解して覚えて判断できなければならず、相当な歴史好きか歴史オタクでないと勝ちにくい。
一方で、世界史は実質高校から学ぶ内容が多いので、それまで歴史が得意でなかった受験生や、歴史が大好きではない受験生でも取り組みやすく成績を伸ばしやすい。しかし全世界(とはいっても出題範囲は偏る)の歴史を理解するのは容易ではなく、時代と場所を整理できないタイプの受験生には鬼門となる。
特に難関大学では検定教科書の説明や記述とは大きく違った切り口で出題されることが多く、単純暗記では太刀打ちできないため、時代と場所や、国境や地域を超えた関連を理解することができない受験生には向かない。
しかし、世界史こそ「人類共通の一般教養」だから、高校時代にしっかりと身につけておく価値はある。その意味では地理が世界史に次ぐ「人類共通の一般教養」となろう。地理(世界地誌や系統地理)は社会人になってからも大いに役に立つので、受験に有利か不利かによらず学ぶ価値は大きい。
政治経済は、受験科目に選択しなくても、中学の公民で概略は学習済だし、大学生や社会人になってからいくらでも深く学び直せるので、高校までは他の科目を優先してもよいのではないかと思う。
実は個人的にイチ押しなのが「倫理」である。まだスレていないピュアな高校生のうちに、世界の偉大な哲学者の思考に触れておく価値は大きいと考えるからだ。俗な人生哲学とは根本的に違う、高貴で崇高な思考を体験することは、後の人生を大いに豊かにしてくれるだろうと思う。
ただ「倫理」を教える力のある高校社会科教師がどれだけいるかは疑問である。その意味で高校時代に倫理の授業を担当していただいた恩師M先生には大いに感謝している。大学入試(国立大一次)で満点を取れた科目は「倫理」だけだったからだ。高校での成績も10段階評価の「10」をいただいた(他の教科や科目でも「10」はいくつかいただいた)。大学入試で大いに自信になったし、(辞退して一般入試で大学に進学したが)最難関私立大学の指定校推薦の候補にもなれた。
感謝しても感謝しきれない。
<お知らせ>
・「完全無料!受験よろず相談会!」を実施しています。
*詳細はトップページからご確認ください。
*今後(時期は未定)は『有料化』します。
<おしらせ2>
「完全1対1個別指導コース」を開設します。募集期限を過ぎた受験生や募集基準を満たせない受験生からご入塾の希望をいただきながら、募集期限や募集基準を満たした受験生とは一緒に指導することは難しいためにお断りすることがございました。また、既存のコースでは対応しきれない指導内容をご希望される場合もお断りすることがございました。「完全1対1個別指導コース」ではそうしたご要望にお応えします。
「完全1対1個別指導コース」は、通常授業の完全個別指導であり、他塾や他予備校の補習指導ではございません。指導方針や指導内容は通常授業と同じになります。
「完全1対1個別指導コース」は、当面の間、通常授業が行われていない時間帯に教室にて対面で実施します。将来的にはオンラインによる完全ライブ指導の導入も検討しています。
ご希望されます方は「完全1対1個別指導コース」と明記されてご連絡してください。体験授業はございませんが、代わりに受講開始前の事前面談(約30分)を実施します。その際に受講の仕方などをご説明いたします。
<おしらせ3>
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<お知らせ4>
「完全1対1個別指導コース」ではない「通常コース」の今年度の空席状況などについてご案内します。
・小5「都立中合格コース」の通塾生は追加で2名ほどでしたら受入可能です。
・小4「都立中合格コース」は通塾生と在宅生ともにまだ受入余力があります。
・「都立中合格コース」は小5の6月が募集締切です。
・高校受験生は中1の10月が募集締切です。
・国公立大学受験生は新高1(中3)が募集締切で、難関私立大学受験生は高1の6月が募集締切です。
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