[2024年5月13日]
国際通貨基金(IMF)が発表した2023年「一人当たりGDP」(米ドル建)の値が衝撃的である。
抜粋で順位を示す。数値は一人当たりGDPである。
抜粋した基準は過去に訪問したことがあるかどうかという極めて恣意的なものである。ご容赦いただきたい。訪れたことがない国や地域については、論じる資格があるかどうか疑わしいからだ。
01:ルクセンブルク129,810
03:スイス100,413
04:ノルウェー87,739
05:シンガポール84,734
06:米国81,632
09:マカオ69,080
11:オーストラリア65,434
12:オランダ62,719
15:スウェーデン56,225
17:ベルギー53,659
19:ドイツ52,727
22:香港50,030
23:イギリス49,099
25:フランス46,001
28:イタリア38,326
34:日本33,806
35:韓国33,192
36:スペイン33,071
39:台湾32,444
44:ポルトガル27,880
48:ギリシャ22,805
50:ハンガリー22,147
72:トルコ12,849
73:マレーシア12,570
74:中国12,514
94:タイ7,337
国の規模が大きいため経済大国と呼ばれた時期がある日本だが、一人あたりGDPでは、シンガポールやマカオの半分程度、香港の6割程度しかない。韓国や台湾とほぼおなじ水準である。西側ヨーロッパ最貧国と呼ばれ、しばしば経済危機や通貨危機や財政危機に見舞われているポルトガルやギリシャに国際順位では近い。東欧のハンガリーはギリシャに近いが生活水準が高いとはお世辞にも言えない。
昨今の大幅な円安で、2024年数値では、韓国や台湾より下になることは確実であろう。
ヨーロッパの4大工業国であるドイツ、フランス、イギリス、イタリアの全てに順位で後塵を拝している。若者の失業率が50%近く問題になっているスペインとほぼおなじ水準であることには危機感を抱かずにはいられない。
尚、訪問したことはないが、昨今国際情勢を揺るがしているロシアとウクライナとベラルーシは以下の通りである。ベラルーシとウクライナでは、国別ではウクライナが圧倒的に上だが、一人あたりではべラルーシが上である。大学入試の地理では旧ソ連諸国は頻出なので注意しておく必要があるだろう。
068:ロシア13,648
091:ベラルーシ7,820
115:ウクライナ5,337
ウクライナ戦争が勃発するまでは国際情勢が落ち着いていたので、「ゆでガエル」改め「冷めガエル」のように、落ち込んでいく日本経済を実感せずに来たが、ここに来て「浦島太郎」のごとく「日本の貧しさ」が浮き彫りになった形だ。
これは政治が悪いとか政権が悪いとか経済対策が悪いとか言ってもしかたない。日本が抱える構造的な問題が背景にあるからだ。
最大の要因は高齢化と人口減少である。そして工業(第二次産業)優先で、第一次産業と第三次産業の育成や維持を十分に行ってこなかったことによる。国内の第一次産業が壊滅的なことは知れ渡っているが、第三次産業の競争力のなさはあまり認識されていないかもしれない。特にソフトウエア産業の相対的な弱さが致命的な要因となりつつある。
「失われた20年」は停滞を意味し衰退を予感させていない。しかし「失われた20年」に続くのは、「復活」ではなく、「衰退」となりそうだ。
歴史を振り返れば、国家の「衰退」は国民の「貧困化」をもたらす。
衰退国家日本をどう生き抜くか。
それが新しい時代の行動基準となっていくことだろう。
相当な家計的余裕がない限り、さしたる成果が期待できない私立中学受験に稼ぎを費やすと後悔することになるかもしれない。公立高校に行けるのに安易に私立高校を選ぶことにも気をつけた方がよいかもしれない。勉強する気がさしてないのなら大学へ進学しても得るものより失うものが大きくなるかもしれない。
グローバル化時代を乗り切るために最優先で学ぶべきは、英会話ではなく、世界史や世界地理であろう。
昨年夏に訪れた香港では、中国への返還で英語が話せなくなった現地の若者がスマホの通訳機構を使って英語で道案内をしてくれた。おなじく香港的軽食店に入ったらそこで働く日本アニメおたくの若者が英語は話せないけど日本語なら話せるからと流ちょうな日本語で「香港はもうイギリスではないから英語や日本語は話さない方が安全だよ」と教えてくれた。イギリス統治時代の香港が懐かしい。一方で国際社会はすでにソフトの時代になっていることを痛感した出来事でもあった。
<お知らせ1>
・「完全無料!受験よろず相談会!」は、そろそろ終了します。
<お知らせ2>
・「都立中チャレンジコース」も、そろそろ終了します。
<おしらせ3>
・「小6適性検査徹底演習コース」は、近々終了します。
<おしらせ4>
・「育成コース」(旧「基礎学力育成コース」)も、近々終了します。
<おしらせ5>
・「資料請求」と「お問い合わせ」はご遠慮いただいております。
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