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三田学院

[2024年5月21日]

【閲覧注意】混迷を深める国際社会

教科指導の堅苦しい記事ばかり書き続けたので、今日は思いっきり脱線したい。

国際社会も国内社会も混迷を深めつつある。

国内社会については、物価高に依然として賃金上昇が追いつかず、物価調整後の実質賃金の減少が続いている。合わせて物価上昇を調整した実質GDPの伸び率もマイナスが続いている。物価上昇つまりインフレが起きていると名目値ではなにかと上昇するので経済が拡大しているかのような錯覚を起こしがちだが、実は国民全体の貧困化は深刻さを増しているのである。

国際社会の混迷度は複雑である。ウクライナを巡ってはフランスやイギリスが関与を強める意向である。アメリカも軍事支援予算が遅ればせながら下院で決議され引き続きウクライナを支援する。最近になってブリンケン国務長官はウクライナのNATO加盟を推進すると表明した。アメリカと欧州諸国によるロシア潰しは本格化しつつあり、さらに拍車がかかりつつある。

アメリカは中国製電気自動車に100%の関税をかけ、経済レベルでの中国潰しを一段と強めている。中国は不動産関連不良債権の国家予算やGDPに対する比率が人類史上ありえないほどの高さになっていて、それを十二分に承知ているアメリカはこの機を逃さずに中国を徹底的に潰しにかかる気配である。

一方でロシアと中国はトップ会談を実施するなど親密度を高めつつある。両国ともに自国が直面している国際環境の厳しさを痛切に感じとっているかのようだ。

ロシア潰しや中国潰しを目指すアメリカや欧州諸国のたくらみは何であろうか。潰したいのはロシアや中国の政権ではないだろうか。潰したいのはロシアや中国の国民活ではない。狙っているのはロシアや中国の資源や市場である。

ロシアや中国に親米とまではいかなくても反米ではない政権が誕生し、ロシアや中国の資源や市場にアメリカや欧州先進諸国の巨大金融資本や巨大産業資本が自らに有利にアクセスできるようになることを目論んでいるのではないだろうか。

ロシアや中国の反米政権が倒れれば、アメリカや欧州諸国の安全保障上の懸念も大きく後退する。これに加えてロシアや中国の資源や市場にアクセスできるようになれば、アメリカや欧州諸国の繁栄はより長く保証される。

ロシアをウクライナ戦争により疲弊させ、中国を関税などによる経済政策と不動産不良債権処理のハードランディングで疲弊させ、反米・反自由経済政権を崩壊させようとしているのではないか。

アメリカの金利高は、中国の膨大な不良債権の処理を、はなはだしく困難にさせることができる。

当然に、日本も経済上かつ安全保障上の恩恵を受ける可能性が高い。政府や官邸や高級官僚たちはそのことを十分承知している可能性がある。

ただ、その目論見は、上手く達成できるであろうか。

ロシアや中国の専制国家的な反米政権が崩壊すると、まず起こるであろうことは、少数民族の自立の動きとなる。政情は不安定化し今のアフガニスタンのようになる可能性を否定できない。

中国には、ウイグル系やチベット系やモンゴル系やトルコ系やツングース系(女真系・満州系)の、少数とは言えない抑圧された民族がいる。

ロシアにもおなじく、シベリアを中心に、ブリヤート族などの100を超えるとも言われる少数民族がいる。ロシアが東方進出や南下政策を取った際に支配下においた東スラブ人から見ればまったくの異民族である。このシベリアに天然ガスや石油などの莫大な天然資源があり、スラブ系ロシアが独り占めしている。

ロシアには、中央アジアやカフカス地方に、今も表面上は親ロシア的な衛星国が多くあるが、アルメニアとアゼルバイジャンが対立していたり、チェチェン紛争が起きたり、南オセチア問題を抱えていたり、ロシアと組んでいても少しも豊かにならないと不満を抱える国々があったりと、すでに破たんしつつある。あろうことか、そこに中国が手を伸ばそうとしていることをロシアは承知している。

アメリカはそこを見逃してはいない。

ロシアと中国を潰したら、アメリカの目標は達成であろうか。

いや、その頃には世界一の経済大国になっているであろうインドが次の標的になる可能性が高い。インドは反米ではないが親米でもない。タイミング的には、インドより先にイランなど中東の反米政権を潰しにかかるかもしれない。その時のためにイスラエルは温存しておきたい。サウジアラビアなどの中東産油国は表面上は親米だが本心は怪しい。本格的に中東の反米政権国家を潰しにかかる際にはあてにならないどころか寝返られ敵になる可能性もある。

911同時多発テロの首謀組織アルカイーダの主要メンバーは、ウサマ・ビン・ラーディンを筆頭にサウジアラビア出身であったことは承知のこととは思う。もともとアルカイーダはアメリカが中東に軍事介入するための口実づくりのために、アメリカが育てたテロ組織である。ウサマ・ビン・ラーディンの出身家庭であるサウジアラビアの有力王族家は、アメリカ政財界との親密な関係が知られている。互いに利用し合った関係だが、利用価値がなくなった方がこの世から消された形となった。

アメリカは、ブリンケン国務長官やサリバン大統領補佐官など、アメリカ政府高官を次々とイスラエルに派遣して、イスラエルによるガザ地区の完全破壊を、かなり強い姿勢で思いとどまらせようとしているが、パレスチナをかばう姿勢は見えず、今は中東で大きな事を構えたくないアメリカの都合が、ただ最優先されているようにしか見えない。

ガザ地区のイスラム過激派勢力であるハマスは、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ勢力の弱体化と、西岸地区とガザ地区との連携を分断するために、アメリカが裏で糸を引いて育てたテロ組織がそもそもの始まりである。

今こそはロシアと中国を潰しにかかる時だというのがアメリカの意向である。そして、ガザ地区が崩壊しても、ガザ地区がしぶとく存続しても、どちらにしても大きなメリットはないというのがアメリカの都合でもある。

それらが見透かされているのか、ネタニヤフ首相やその側近は、パレスチナに対する攻撃を緩める気配がない。イスラエルからしたら、今こそパレスチナを徹底的に弱体化させるチャンスと考えている節がある。

アメリカ製の高額な最新兵器は、ウクライナ戦争に伴い欧州諸国などに飛ぶように売れているから、中国の南シナ海での活動活発化や台湾進攻懸念と北朝鮮の核開発懸念から東アジアでも飛ぶように売れているから、今のアメリカは十分に満足であり、中東で紛争を起こしてまで武器輸出の促進を図る必要はない。むしろ今は武器輸出に向けた生産が追いついていないほど十分にボロ儲けできているから、アメリカの景気は非常に良い。FRBがなかなか利下げをできないでいる要因ともなっている。

それが日本国内の生活を圧迫している超「円安ドル高」の原因である。日本は国内金利の利上げをすると、巨額となった赤字国債の利払いや償還が厳しくなるから、大幅な利上げはできない。一方で物価高が続けば貨幣価値の低下で赤字国債の償還負担が下がり、政府にとっては都合がよい。合わせてこそっり増税できればさらに財政運営が楽になるから、物価高による実質増税に加えて、さらに踏み込んだ幅広い増税策を打ち出す可能性もある。財政赤字はそろそろ限界になってきているから、いずれ増税は避けられない。

日米金利差が大きすぎるので為替介入も限定的な効果しか期待できない。しばらく円安に伴う生活苦を日本人は耐え忍ぶしかない。

このような国際情勢の中で、日本が取るべき国際政治戦略は、どあるべきであろうか。

米軍のアフガニスタン撤退や、ウクライナ戦争への直接的な軍事介入のない軍事支援から見えてくるのは、アメリカは自らが直接の実行役にはならずに、配下の親米国家や親米勢力を使った、間接的な軍事介入による、国際政治的な目標達成ではないだろうか。

そうなると、中国の台湾進攻では台湾軍や台湾国民が直接的な当事者となってアメリカは後方支援の形をとり、南シナ海ではフィリピン軍やフィリピン国民が直接的な当事者となってアメリカは後方支援の形をとり、アメリカは軍事上も政治上も経済上も最小限の損失に留めながら、アメリカは自国の目標を達成するという、極めて賢いとしか言いようがない戦略を取る可能性が高い。

すでに、ウクライナ戦争やイスラエル紛争で、その姿勢が垣間見られる。

セルビアとオーストリアの二国間の紛争が、第一次世界大戦に発展したように、局地戦が世界規模の大戦に拡大する可能性があることには、十分に注意しなければならない。

専制国家では政権の崩壊は専制君主の生命に関わる。どうせ命を取られるのなら、妥協や屈服はせずに、命が尽きるまで徹底抗戦するという意思決定へとつながりかねない。

イラクのフセインがそうであったし、リビアのカダフィもそうであった。

ロシアや中国やイランもそうなるかもしれない。しかし、ロシアも中国もイランも大国である。局地的な紛争に収まらなくなる可能性がある。

資源開放や市場開放は、国際社会にとって有益かもしれない。しかし過度に期待すれば、力で実現しようとすれば、その代償は大きくなりかねない。

バタフライ・エフェクト

小さな蝶の羽ばたきが、地球規模の大災害につながるようなことに、なるのだろうか。

日本政府は、台湾本島に近い沖縄県の八重山諸島の島々を手始めに、国費で防空シェルターの設置を開始する。すでに八重山諸島には自衛隊の駐屯地が複数設置された。米軍は沖縄本島より台湾寄りの島々には展開していない。むしろ沖縄に配備している戦闘機などを有事の際にはいったんアメリカ本土のアラスカ州まで下げる訓練を開始し始めた。普天間基地などに配備されている最新鋭のF35戦闘機などは、在日米軍基地所属ではなくアラスカ基地所属に変更された。

嘉手納や横須賀や三沢の在日米軍の主力部隊が、静かにその姿を隠したとき、おそろしい事態が起きるかもしれない。


<お知らせ1>
対象学年を変更して「完全無料!受験よろず相談会!」の募集を再開しました。

<おしらせ2>
今年度は、小6と高3の受験生が極端に少なく10年ぶりに穏やかな日々を過ごさせていただいていますが、中学受験指導と大学受験指導の勘を鈍らせないために、小6と高3を特別募集します。小6は「適性検査対策」限定で、高3は「大学受験英語と入試小論文対策」限定で募集をします。

尚、来年度の小6と高3(つまり今年度の小5と高2)は、すでに定員に達していますので、来年度に特別募集は行いません。

<余談>
急激な物価上昇に伴う生活費の急騰から、次の大学入試では国公立大学志向が強まる気配です。地方国公立大学を目指す受験生は特に注意が必要です。地方の急激な少子化に伴った競争緩和傾向から、一転して競争激化が起りそうです。一方で大都市圏の私立大学は同じ理由から競争がかなり緩和しそうです。首都圏の私立大学ではマグレ合格が例年よりも頻発する可能性があります。しかしあくまでもマグレの頻発であり、すべての大学受験生が実力以上の私立大学に合格できるのではありません。

私立大学受験生にはまさかの合格が、国立大学受験生にはまさかの不合格が、例年より多く起きそうなのが、次の大学入試です。

おなじく、次の入試では、首都圏の中学受験も実質的な緩和になりそうです。公立中高一貫校入試でも、特に女子は、競争が緩和しそうな気配です。逆に、同一学年の高校受験は受験の先送りから激化する可能性があります。学力優秀な女子受検生は、沈静化したとまでは言えない私立中ではなく、都立中に挑戦した方が満足度が高い結果になるかもしれません。

男子は、都立中を目標にしても、私立中を目標にしても、そして都立校を目標にしても、厳しい闘いになることは必至です。慎重かつ周到に事を進めてください。これは次の入試に限ったことではありません。しばらく続きます。

<お知らせ3>
・「資料請求」と「お問い合わせ」はご遠慮いただいております。
・「お電話」や「ご予約なしでのご来室」もご遠慮ください。

*教室チラシを教室入口ドアの外に常時置いていますので、ご自由にお持ち帰りください。

<お知らせ4>
・「コース」内容は、PC版ホームページの「小学生」か「中学生」か「高校生」や「キャンペーン」からか、スマートフォン版の「インフォメーション」一覧から確認ください。
・スマートフォン版では表示スペースの関係で一部のコースしか表示されていないことがあります。

<最後に>
意図せずかなりの長文になってしまいました。最後までお読みいただきありがとうございます。最後までお読みいただいたみなさん、そして理解できたみなさん、ご安心してください。あなたとあなたのお子さんは、中学受験や高校受験や大学受験で成功する可能性が高いです。


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