[2024年5月24日]
中学受験をするにしても、高校受験をするにしても、受験における最終目的地が、大学受験での成功であることに違いはないだろう。
志望校を選ぶ際に、ほぼ必ず確認するのは、大学合格実績であることが、その証拠である。中には大学合格実績を確認せずに志望校を選定する親子がいるかもしれないが、それは芸術系に進むとか、スポーツ系での成功を目指すとか、特殊な事情によることがほとんどだろう。
しばしば陥りがちな誤りが、学校内成績上位層がどの大学に合格しているかしか確認しない行為である。それより大切なのは、合格ボリュームゾーンがどのレベルの大学群か、ボトム層がどのレベルの大学群かを、しっかり確認しておくべきである。なぜなら、最終的にはそうした大学群へ進む可能性が高いからである。
国公立大学は、前期と中期と後期の3回のチャンスがあるが、前期で合格し入学手続きをしたら、中期や後期では合格はもらえないから、実質的に合格実績は1大学となる。
一方で、私立大学は、いくつでも合格をもらうことができるから、高校別の私立大学の合格実績は、その分を割り引いて考える必要がある。
早稲田や慶應義塾を目指す私立専願の受験生の場合、早稲田や慶應義塾のおもだった学部を複数受験して、かつ上智や東京理科やMARCHを滑り止めに受験する。
早稲田や慶應義塾で2から3つの合格をもらい、上智や東京理科やMARCHから合わせて3つから5つの合格をもらうようなことが普通に起きる。しかし入学するのは1大学1学部となる。
上記の例なら、最大で7つの合格者数が実質的に水増しになる。
このため、高校別の早稲田や慶應義塾の合格者数は2〜3で割って初めて実合格者数に近くなり、上智や東京理科やMARCHの合格者数は3〜4で割らないと実態には近くならない。
そして、卒業生総数から、国公立大学合格者数をまず引き、そして調整後の早稲田や慶應義塾の合格者数を引けば、国公立大学や早稲田や慶應義塾には合格できなかった人数が推計できる。
同じように調整後の上智や東京理科まで引けば、MARCH以下にしか合格できなかった総人数がわかる。調整後のMARCHまで引けば、MARCH未満にしか合格できなかった総人数がわかる。
注目すべきは、難易度が平易な大学に、どの程度の人数の合格者がいるかである。合格者数一覧にある大学名を、河合塾や駿台の合格ボーダーが低い順に並べ直し、それぞれの大学に何人合格しているかを調べてみるとよいだろう。
実力よりも明確に易しい大学を受験する受験生は少ない。合格したら入学金や前期授業料などを納入して入学権をキープしておきたい大学しか受験しないはずだから、そうした難易度平易な大学を受験せざるをえなかった生徒が、どれくらいいるかを浮かび上がらせることができる。
分かりやすい例を示す。
東京大学に合格できそうな受験生が、MARCHを併願受験することはまずない。早稲田か慶應義塾くらいまでである。かなりの割合で早稲田や慶應義塾も受験しない。後期日程で地方旧帝国大学を出願しておくか浪人を選ぶ受験生が多い。
早稲田や慶應義塾に合格できそうな受験生が、MARCH未満を併願受験することもまずない。
MARCHに合格できそうな受験生が、日東駒専未満を併願受験することはもまずない。
私立大学は広くとらえれば、2月の初めから2月の下旬まで約20日間の入試日程があるが、その中でも約2週間に日程が集中するから、ムダになるような受験をしている余裕はない。当然に実力をふまえて最適な併願戦略を取ることになる。
それなのに、難易度が平易な大学から合格を貰おうとするのは、そこからしか合格がもらえない可能性がある受験生がいることとなる。
だから、難易度が平易な合格大学を確認しておくことに、重要な意味がある。その高校のボトム層がどういった大学に進むことになるかを確認できるからだ。
合わせて、高校や中高一貫校の本当の実力というか本当のレベルを知ることもできる。模擬試験の偏差値よりもレベルを正確に把握できる。
悲しいかな、中学受験や高校受験で合格できそうな学校が絞り込まれてくれば、将来に進むことになるだろう大学のレンジがわかってしまう。入学後に想定される学内順位まで推定できれば、将来に進むであろう大学のレベルも予想できてしまう。
つまり、大学受験の競争は、小学校4年生にはスタートしているということである。
中学受験が小4から始まるのではない。高校受験も小4には始まるし、大学受験も小4から始まっているのだ。
それが理解できない親子が少なくない。それを理解できている親子は、それを知って受験対策を進めるだけで、アドバンテージになる。
反対に、それが理解できない親子は、そこでまず大きなディスアドバンテージになる。
教育格差を拡大させているのは、家庭の経済状況というよりも、家庭の教育観や、家庭の教育方針や、家庭の教育環境かもしれない。その違いが、家庭の経済状況とただ相関しているだけだと考えれば、今の教育格差の状況が腑に落ちなくもない。
私立高校の授業料を支援しても、教育格差はなくならないであろう。むしろ、頑張って公立高校を目指さなくてよくなるから、教育格差を拡大させるのではないかと心配している。
もしそうなれば、公費(税金)をムダ遣いしたことになってしまう。政治家が選挙で勝つためのバラマキでしかなかったことになる。
そうではないと願いたい。
<お知らせ1>
対象学年を変更して「完全無料!受験よろず相談会!」の募集を再開しました。PC版ホームページの「キャンペーン」をご確認ください。他にもいろいろとキャンペーンを展開しています。
<おしらせ2>
今年度は小6と高3の受験生が極端に少なく、約10年ぶりに穏やかな日々を過ごさせていただいています。しかし、中学受験指導と大学受験指導の勘を鈍らせないために、小6と高3を特別募集します。小6は「適性検査対策」限定で、高3は「大学受験英語と入試小論文対策」限定で募集をします。PC版ホームページの「キャンペーン」をご確認ください。他にもいろいろとキャンペーンを展開しています。
尚、来年度の小6と高3(つまり今年度の小5と高2)は、合計ですでに定員近くに達していますので、来年度に特別募集は行いません。
高校受験生が少なくても、高校受験生を中3で特別募集することは、そもそもしていません。理由をご説明すると長くなりますので、ここでは割愛させていただきます。
<お知らせ3>
6月に入りましたら「夏期講習」募集の案内を開始いたします。「夏期講習」の外部募集の対象者は、レギュラー・コース(合格コースなど)の対象者となります。現在募集中の特別募集コースは対象とはなりませんが、特別募集コースの在塾生は対象となりますので、特別募集コースでのご入塾をご検討されている場合は「夏期講習」募集開始前までご入塾されてください。
<お知らせ4>
・「資料請求」と「お問い合わせ」はご遠慮いただいております。
・「お電話」や「ご予約なしでのご来室」もご遠慮ください。
*教室チラシを教室入口ドアの外に常時置いていますので、ご自由にお持ち帰りください。
<お知らせ5>
・「コース」内容は、PC版ホームページの「小学生」か「中学生」か「高校生」や「キャンペーン」からか、スマートフォン版の「インフォメーション」一覧から確認ください。
・スマートフォン版では表示スペースの関係で一部のコースしか表示されていないことがあります。
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