[2024年5月27日]
今回は、共通テストの新課程後の科目別攻略難易度を整理しておきたい。
科目ごとに極端な得意や苦手がある受験生がいることは承知しているが、それらをすべて考慮して一般論として整理する。
おおむね攻略に必要な勉強時間数の順となるが、現代文は勉強時間数を増やしても成績が必ずしも向上しない最たる科目であるから、現代文の難易度は参考程度となる。
地理基礎・地理探求は正答率60%までは最短最速で到達可能だが、正答率で70〜80%を越えようとすると急に難易度が高くなる。これは全科目の中で最も思考力が求められる出題傾向にあることによる。飛びぬけたセンスがないと80%以上は難しい。これは共通テストになってからその傾向が強まっている。センター時代の常識は通用しない。
今後は、他の科目もその傾向を強める可能性があるので注意が必要である。単純暗記や解法暗記が通用しないのが、共通テストの特徴であり、それがもっとも早く鮮明になったのが旧課程の地理である。
一問一答集を完璧にしたのに爆死したという投稿が、YOUTUBEやブログなどで散見されるようになったのが、旧課程の世界史である。世界史など他の科目も今後は高得点が取りずらくなっていくであろう。思考力重視だから知識の習得はほどほどでよいと勘違いすると危険である。完璧な知識の習得を前提に、正しく理解できているか、知識の運用力はあるか、そして高い次元で分析や判断ができるかが問われるようになりつつある。
もともと世界史は正答率の分布が最も広い科目である。得点率が20〜40%となった受験生の分布が全教科の中で最も多く、一方で80%以上の受験生も多い。つまり差がつきやすい科目である。努力が報われやすい科目でもある。超高得点狙いで攻めるなら歴史総合・世界史探求が相性がよく、中高得点で安定を目指すなら歴史総合・日本史探求が適していて、地歴に時間を割り当てられず、それでいて平均点付近を狙いたいならなら地理総合・地理探求が効率がよい。ただし理系学部受験生で社会に時間を割り当てられないが、そこそこの得点率が必要なら、公共・政治経済か公共・倫理を選択するのが安全であろう。
ただ、日本史も史料読解・史料分析の比重が増えてきていて、歴史は暗記という古い常識は通用しなくなった。学校授業や学校配布の史料集や市販の問題集に載っていないような歴史上の原文史料が出題されるようになった。出たとこ勝負でも解けないと高得点は狙えない。一方で、世界史は言語上の課題から原文での史料読解・史料分析の出題はしずらいため、時間や空間を超えた因果関係や影響関係が問われるなど、科学的な分析力や判断力が問われるようになりつつある。これはいずれ日本史探求の出題にも波及して行く可能性がある。
<共通テスト得点率90%基準>
S+:英語リーディング、現代文
S±:数学2BC、歴史総合・世界史探求、歴史総合・日本史探求、化学、生物
S−:数学1A、物理、古文、地理総合・地理探求
A+:英語リスニング、化学基礎、生物基礎
A±:公共・倫理、公共・政治経済、物理基礎
A−:漢文、地学基礎
<共通テスト得点率80%基準>
S±:英語リーディング、現代文
S−:数学2BC、歴史総合・世界史探求、化学
A+:数学1A、古文、歴史総合・日本史探求、地理総合・地理探求、物理、生物、
A±:英語リスニング、化学基礎、生物基礎
A−:漢文、公共・倫理、公共・政治経済、物理基礎、地学基礎
<共通テスト得点率70%基準>
S−:英語リーディング、数学2BC、歴史総合・世界史探求、化学
A+:数学1A、現代文、古文、歴史総合・日本史探求、生物
A±:物理
A−:英語リスニング、地理総合・地理探求、化学基礎、生物基礎
B+:公共・倫理、公共・政治経済、漢文、物理基礎、地学基礎
<共通テスト得点率60%基準>
A±:数学1A、数学2BC、英語リーディング、歴史総合・世界史探求
A−:現代文、古文、歴史総合・日本史探求、化学、生物、物理
B+:英語リスニング、漢文、地理総合・地理探求、公共・倫理、公共・政治経済、理科基礎4科目
得点率が60%台でも合格の可能性がある国公立大学はあるので、得点率60%基準も掲載した。国公立大学への進学を希望するなら、科目別難易度を参考に、諦めずに共通テストに挑んでいただきたい。
どの科目で得点を稼ぐかを戦略的に明確にして行動することで、明るい兆しが見えてくる。理想論や楽観論にはきっぱりと別れを告げて、現実をしっかりと見据えて、具体的かつ計画的に取り組むべきである。
共通テストからは脱線するが、慶應義塾大学の入試科目がある意味で効率よく頭脳明晰な受験生を選抜するのに効率がよい組合せになっている。法学部は英語と世界史または日本史と小論文の3科目で選抜する。共通テストで正答率90%以上を達成できない受験生は慶應の英語や世界史は解けないような問題になっていて、過去問演習をしたら諦めてくれる受験生がほとんどになるから、これにより単純努力型の受験生を事前に実質的に足きりできる。
早稲田は政治経済学部で数学を必須化したことで、英語と国語と社会しか対策できない、膨大な人数の凡庸な学力の受験生を実質的に振るい落とすことに成功した。この成功を怖ろしい程の出願倍率となっている社会科学部などにも今後は導入しようとしている。
慶應も早稲田も勘違いした受験生が出願してくる可能性は残る。
その対抗手段として、慶應は英語の得点率が一定水準に達していない受験生は、合格の可能性がないので、小論文などは実質的に丁寧に採点していない可能性すらある。早稲田の政治経済は受験生が激減してくれたので、総合問題は全員分をしっかり採点してくれている可能性はあるが、総合問題の英語で実質的に足切りしているかもしれない。
共通テストの英語リーディングはますます難易度が上がっていると巷の大手予備校や有名塾がさかんに喧伝しているが、実際の問題は実用的な英文になってきていて、英単語数は増えてはいるものの難易度そのものはさして難しくはない。むしろさほど難しくはない英語を高速で正確に読めないといけなくなった点が難しい。英語圏からの帰国子女でもない限り、高速で正確に最後まで問題文を読み、設問に正確に解答し、問題の全てに取り組むのが難しいだけである。
速く正確に読めるために必要なことは、まずは英単語力と英文法力である。共通テストでは英単語の意味や英文法の直接的な出題はされなくなったから、英文読解の総合的な実力が必要になった。英語リスニングは別途出題されるから、純粋に英文読解力が問われる。幼稚な英会話や、幼稚な英語力では通用しない。
英語が得意でない受験生に共通しているのは、英単語力と英文法力の絶対的な不足である。恐ろしいほど的中する。基礎固めには、英文読解のための徹底的な英文法の習得と、英文解釈のために必要な英単語や英熟語の習得が必要である。そこから取り組み直していただくしかない。魔法の処方箋などない。これを怠れば共通テストの英語リーディングはおろか、慶應や早稲田など難関私立大学の英語も攻略できない。英単語や英文法から逃げ続けたら、英語入試問題で悪戦苦闘したあげくに、相応のレベルの私立大学に進むしかなくなる。
共通テストの英語リスニングは、巷の講評とは大きく違い、実に平易である。実際に音声やスクリプトで確認していただきたい。難易度は高くないので、共通テスト向けの適切な音声教材を使えば対策が可能である。敵を十分に知らずに怖れてはいけない。英会話教室などに通う必要はない。むしろ、時間と費用をムダ遣いすることにしかならない。時間のムダ遣いは最終的に致命傷になりかねないので注意が必要である。
数学は書けば長くなるので別の機会に譲る。
共通テストや難関私立大学の入試が、だらしない凡庸な受験生を瞬殺する形式になってきていることは、承知しておいた方がよい。
早慶に6ヵ月で合格させますとか、MARCHに3ヶ月で合格させますとか、共通テストを短期で攻略させますとか、予備校や塾の宣伝文句に惑わされず、地道な取り組みをすべきである。
また、英会話教室の宣伝がやたらと多いので、ついつい通わせたくなるのだろうが、幼稚な英会話をいくら習っても、共通テストや難関大学の英語入試には通用しないことを知っておくべきである。もっとガッツリと英文法や英単語を勉強しなければ英語では勝てない。方法論を根本的に間違えてはいけない。
慶應義塾大学や早稲田大学など難関大学の英語入試問題をじっくりと吟味してから、幼稚な英会話教室に通わせるべきかどうかを、冷静かつ客観的に判断すべきである。
話しは戻るが、予備校の講義を聞いて分かったようになっているのは、過去もそうだが、今も危険である。大学入試は自分で入試問題を解けなければ合格はないから、どうしたら合格できるかは自明である。
参考書ルートなどというのが流行っているが、さして素晴らしくもない参考書や問題集を次々に紹介して、代わりに授業料をせしめる新手の商売であることに、早く気がつくべきである。次から次に参考書や問題集に取り組んでいたら、本番までに仕上がるものも仕上がらなくなる。参考書や問題集は絞り込めるだけ絞り込んで、徹底的に取り組んで完璧にするのが正攻法である。
凡庸な受験生ほど、あれこれ試したくなることを知った上で、ネタ的に参考書問題集を紹介しているにすぎない。どれも大型書店に行けば並んでいるような本ばかりであるから、自分でしっかり吟味して選ぶ方がまだマシである。受験生の実力や到達度や得手不得手などをふまえて、ピンポイントで取組方法や取組教材を指定できる、熟練した指導者の下で取り組むのが賢明であり安全である。
参考書ルートで紹介される教材は、数打てば当たる的な選び方になっていることには十分に注意すべきである。これがダメだったら次はコレをやってみて的な勧め方である。あるいは参考書ソムリエの好みを紹介しているだけでしかない。翻弄されると痛い目に合うことは必至である。警戒した方がよい。
<お知らせ1>
対象学年を変更して「完全無料!受験よろず相談会!」の募集を再開しました。PC版ホームページの「キャンペーン」をご確認ください。他にもいろいろとキャンペーンを展開しています。
<おしらせ2>
今年度は小6と高3の受験生が極端に少なく、約10年ぶりに穏やかな日々を過ごさせていただいています。しかし、中学受験指導と大学受験指導の勘を鈍らせないために、小6と高3を特別募集します。小6は「適性検査対策」限定で、高3は「大学受験英語と入試小論文対策」限定で募集をします。PC版ホームページの「キャンペーン」をご確認ください。他にもいろいろとキャンペーンを展開しています。
尚、来年度の小6と高3(つまり今年度の小5と高2)は、合計ですでに定員近くに達していますので、来年度に特別募集は行いません。
高校受験生が少なくても、高校受験生を中3で特別募集することは、そもそもしていません。理由をご説明すると長くなりますので、ここでは割愛させていただきます。
<お知らせ3>
6月に入りましたら「夏期講習」募集の案内を開始いたします。「夏期講習」の外部募集の対象者は、レギュラー・コース(合格コースなど)の対象者となります。現在募集中の特別募集コースは対象とはなりませんが、特別募集コースの在塾生は対象となりますので、特別募集コースでのご入塾をご検討されている場合は「夏期講習」募集開始前までご入塾されてください。
<お知らせ4>
・「資料請求」と「お問い合わせ」はご遠慮いただいております。
・「お電話」や「ご予約なしでのご来室」もご遠慮ください。
*教室チラシを教室入口ドアの外に常時置いていますので、ご自由にお持ち帰りください。
<お知らせ5>
・「コース」内容は、PC版ホームページの「小学生」か「中学生」か「高校生」や「キャンペーン」からか、スマートフォン版の「インフォメーション」一覧から確認ください。
・スマートフォン版では表示スペースの関係で一部のコースしか表示されていないことがあります。
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