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三田学院

[2024年5月28日]

【都立中】物価高と中学受験

ウクライナ戦争で世界的に進行している物価高は、日本国内にも大きな影響を与えている。ロシアに対する経済制裁により、天然ガス(火力発電用)や原油(輸送燃料や化学製品用)の価格が高騰していることが大きい。ロシアやウクライナの小麦(食品や家畜飼料)など、農産物の正常な国際物流流通網が機能していないことも大きい。

物価高(インフレーション)はそのままでも庶民の生活を直撃する。物価高は金利上昇や金利上昇圧力となって、これも庶民の生活を圧迫する。

適度なインフレーションはデフレーション(物価下落・貨幣価値上昇)よりは健全ではあるが、インフレ率がある一定水準を超えると危険な刃として機能し始める。

その最たる悪影響が、貧富の差の拡大である。富裕層は豊富な現物資産(土地など)や金融資産(株式など)を所有しているので、インフレは資産を増大させる。一方で庶民や貧困層は保有している現物資産や金融資産は少ないか、差引では殆どないに等しいから、インフレはなけなしの現預金資産を実質的にさらに減少させ、生活そのものがさらに困窮へと向かう。

令和6年度に入って地方選挙で与党がことごとく敗北したが、これは経済に詳しくない有権者であっても、現在おかれている経済的な状況が非常に厳しいことへの不満の表れだったと解釈できなくはない。

庶民や貧困層の困窮は、歴史的には民衆の暴動や反乱につながってきた。東アジアの大陸国家における政権交代(王朝の滅亡)は、そのほとんどが、生活に困窮した民衆の暴動や反乱によって起きた。東欧からユーラシア大陸をまたぐ帝国(王朝)の崩壊もまた民衆革命により起きた。これら専制国家が執拗なまでに民衆を抑圧するのは、民衆が蜂起することが何よりも怖いからである。民衆の蜂起によって誕生した国家が、その後に民衆を抑圧するのは、実に滑稽でもある。

日本の歴史は特殊で、農民や零細商工業民による政治体制の転覆は起きていない。民衆は常にいつまでも耐え忍ぶ。そして政治的な活動には向かわずに、個人的な倹約へと向かい、どうにもならなくなると間引きや身売りへと向かう。

すでに1年以上続く急激かつ大幅な物価高で、日本国内の庶民の生活は一変した。ゆでガエルのようになっているので、ハッキリと意識されていないかもしれないが、行動が大きく変わりつつある。

顕著な傾向となりそうなのが、首都圏における中学受験者数の実質的な減少であり、地方圏における国公立大学志向の強まりである。

確定データは1年後や2年後にならなければ確認はできないが、中学受験者数の減少と、大都市圏の有名大学受験者数の減少が、進行中だと見ている。

これにより何が起きるかを整理しておこう。

・首都圏私立中学受験において、中堅校以下の私立中学の実受験者数が減少する。
・首都圏私立大学入試において、最難関大学以外の実受検者数が減少する。

首都圏私立中学実受検者数の減少は、私立中学との併願率が上昇していた公立中高一貫校の受検者数にも減少圧力となる。おりしも昨年度に男女混合定員化を行った九段に続き、残る都立中10校の男女合同定員化が待ち構えていて、男子受検生を中心に中学受検離れが起きつつある。

しばしば起こることは、自分だけがそう決断したと思ったことが、周りの多くもそう決断していたという現象だ。かつての都立中受検の異常な人気や、私立中学受験の過熱がそうであったが、その逆の現象もまた、おなじように起きる。

何が言いたいかというと、実は大多数が選択する道とは正反対の行動をすることで、大きなチャンスがうまれることがあるということだ。

・都内公立中高一貫校の受検は、特に女子の受検は、かなり魅力的となる。

・最難関大学を除き、都内有名私立大学の受験は、かなり魅力的となる。

一方で、

・都内高校受験は、今年以降に中学受験対象年齢となる学年が高校受験を迎えることになる年から、特に進学校や中堅校で激戦化する可能性がある。警戒しておいた方がよい。

・地方人口の減少で平易化が続いていた地方国公立大学で平易化の流れが一時的に止まり、逆行的に難化する可能性がある。文系学部は公務員志向の受験生を集め、理系学部は就活の強さに期待する受験生を集める。医学部医学科は空前の激戦となるかもしれない。その傾向はすでに昨年度にも確認されている。こちらも警戒が必要である。

・大都市圏の私立大学医学部医学科は過去最高の激戦を更新する可能性がある。今や確実な将来が見込める進学先は数少ないからだ。富裕層や医療関係の保護者を中心に、子弟を医学部医学科を受験させようとする意向がさらに強まりそうだ。平易だと思われている私立大学医学部医学科ほど例年にはない厳しい入試となるかもしれない。警戒しておいた方がよい。

特に私立大学医学部医学科は優秀な女子受験生に人気がある。男女平等になったとはいえ、女子が活躍できる職種や職場はまだまだ限られている。その中で医師は優秀な女子にとって魅力的な職業となる。女子はコツコツと勉強するのが得意な傾向にある。暗記も得意な傾向にある。これは入試科目の英語や生物や化学で威力を発揮する。私立大学医学部医学科の入試科目である、英語と数学と理科2科目のうち、英語と生物と化学を得意とする女子が多い。学力優秀な受験生なら数学も苦手ではないことが多い。私立大学医学部医学科の女子比率が高くなる理由はここにある。私立医学部医学科入試における女子差別の実態が明らかになり是正されることになったので、女子にとってさらに挑みやすくなった。その分だらしない男子受験にとって医学部医学科入試は合格のハードルがより高くなりつつある。

誤解が生じないように配慮すると、どうしても長文になってしまうので、お詫びの代わりに要訳しておく。

・都内公立中高一貫校は、女子を中心に、魅力的な受検年度となりそうだ。
・私立中学受験では、中堅以下を中心に、魅力的な受検年度となりそうだ。
・首都圏有名私立大学の受験は、魅力的な受験年度となりそうだ。

一方で、

・地方国公立大学を中心に国公立大学は激戦化が起りそうだ。
・国公立大か私立大を問わず医学部医学科が激戦化しそうだ。
・近い将来に首都圏の人気高校は想定外の激戦となりそうだ。


<お知らせ1>
対象学年を変更して「完全無料!受験よろず相談会!」の募集を再開しました。PC版ホームページの「キャンペーン」をご確認ください。他にもいろいろとキャンペーンを展開しています。

<おしらせ2>
今年度は小6と高3の受験生が極端に少なく、約10年ぶりに穏やかな日々を過ごさせていただいています。しかし、中学受験指導と大学受験指導の勘を鈍らせないために、小6と高3を特別募集します。小6は「適性検査対策」限定で、高3は「大学受験英語と入試小論文対策」限定で募集をします。PC版ホームページの「キャンペーン」をご確認ください。他にもいろいろとキャンペーンを展開しています。

尚、来年度の小6と高3(つまり今年度の小5と高2)は、合算ですでに定員近くに達していますので、来年度に特別募集は行いません。

<お知らせ3>
6月に入りましたら「夏期講習」募集の案内を開始いたします。「夏期講習」の外部募集の対象者は、レギュラー・コース(合格コースなど)の対象者となります。現在募集中の特別募集コースは対象とはなりませんが、特別募集コースの在塾生は対象となりますので、特別募集コースでのご入塾をご検討されている場合は「夏期講習」募集開始前までご入塾されてください。

<お知らせ4>
・「資料請求」と「お問い合わせ」はご遠慮いただいております。
・「お電話」や「ご予約なしでのご来室」もご遠慮ください。

*教室チラシを教室入口ドアの外に常時置いていますので、ご自由にお持ち帰りください。

<お知らせ5>
・「コース」内容は、PC版ホームページの「小学生」か「中学生」か「高校生」や「キャンペーン」からか、スマートフォン版の「インフォメーション」一覧から確認ください。
・スマートフォン版では表示スペースの関係で一部のコースしか表示されていないことがあります。


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