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三田学院

[2024年5月29日]

【都立中】高校受験の不都合な真実

今回は高校受験について考えてみる。

題目を、高校受験の不都合な真実としたが、高校受験はやめておけなどというのではなく、高校受験を選択した場合の不都合な真実を、ただお伝えしたいだけである。

・偏差値がおなじでも東京と地方では大学進学実績は大きく違う

これは高校の進学指導力の違いによるのではない。入学者の学力分布による。高校偏差値はその高校への合格可能性の違いを表しているに過ぎない。余裕で合格した受験生がどれだけ含まれるかは全く表現できていない。

東京はそもそも高校数が多く、交通網が発達しているので広域で通学が可能で、都立高が学区制を全廃したことにより都内全域から受験校を選択できるようになった。これにより起きたのが細かな序列化である。偏差値73の高校に合格が確実な受験生が、わざわざ偏差値65の高校を受験することはまずない。つまり偏差値65の高校に偏差値73の高校に合格できる受験生はいない。

一方で、地方圏の場合は、選択可能な通学可能な高校数が限られることが多く、地域の一番の進学校が偏差値65ということは珍しくない。そうなると、その偏差値65の高校に、偏差値73の高校に合格できる受験生のほとんどが入学してくることになる。

これが東京と地方の公立高校の根本的な違いとなる。

偏差値65の地方高校からは東京大学や国立大学医学部医学科へ進学する生徒がいることは珍しくないが、偏差値65の都立高校から東京大学や国立大学医学部医学科へ進学する生徒は極めて稀となる。

・多くの私立学校は中学募集と高校募集の混成となる

情報雑誌で、成績が伸びる中高一貫校特集とか、お買い得な中高一貫校特集がしばしば組まれるが、入り口が中学入試偏差値で、出口が大学合格者数であることが多い。大学合格者数の内訳が中学入学者なのか高校入学者なのかを明示していないことがほとんどで、多くは合算になっている。

難関の中高一貫校を除き、中学入学者よりも高校からの入学者の方が格段に学力が高い場合が多く、輝かしい大学合格実績は高校からの入学者が稼いでいることが多い。低偏差値校の場合はその逆となっている場合もある。よって、高校募集がある中高一貫校の大学合格力の評価は外部からは非常に難しい。つまり受験生やその保護者に正確な判断ができない。

・授業料全額免除などの特待制度がある私立学校がある

二つの注意点がある。授業料全額免除は、ほとんどの場合、その学校よりも遥かに入学難易度が高い受験生を、授業料全額免除で引き抜く制度である。当然に入学者の中で突出して優秀な受験生となる。これがその後に大学合格実績に反映されるので、高校の実力の評価がゆがむ。ほとんどの特待生でない受験生はそうした大学には全く届かずに卒業して行くことになる。

特待生を露骨に優遇して教科指導や受験指導する場合がある他、特待生は学校推薦型選抜や総合型選抜で大学受験できなかったり、特待生は大学合格実績数を稼ぐために必要以上に多くの滑り止め大学を受験させられたり、特待生以外は指定校推薦を使って提携という名の高大で結託した大学へ流し込んだりと、荒行が横行している学校が多い。

MARCHへの合格者数が、ある年に前年までの半数に突如として減少した私立中高一貫校をご存知かと思う。特待制度があり、特待入試を行っていて、中学募集と高校募集がある学校である。学校内外からの批判に耐えられなかったのだろうか、大学合格者数の水増しを突如としてやめたのである。学校の実力はおなじでも私立大学の合格実績数はいかようにも操作できることの査証である。

広報担当の幹部教員のトークが、金融詐欺セミナーを彷彿とさせるような流暢さだったので、警戒をしていたが、予想通りの展開となった。それでも不思議なことに人気校としての地位は大きくは揺らいではいない。内容を変えてトークを炸裂させているからだろうか。お勧めしない私立中高一貫校の筆頭にリストアップをしている。この学校はどうですかと聞かれたらお伝えするようにしている。

・高校受験では難関大学受験対策が難しい

これは難関中高一貫校と比較しての相対的な困難さであって、高校受験を選択したら絶対に難関大学には合格できないという意味ではない。

高校受験の場合は高校入試があるから、中学段階で高校内容を先取りすることには限界がある。もちろん英語や古文漢文や地歴公民は明確な積み上げ内容ではないため、深堀することで高校内容にくい込めなくはないが、数学と理科の自力での先取りはかなり難しい。

高校受験の場合、中高一貫校なら3.5〜4.0年程度かけて学ぶ内容を、2.0年くらいで学び終えなければならない。同じ学力なら、前者の方が攻略しやすく、後者は破綻しやすい。

数学も英語も分からなくなり出したら、その先はまったくついていけなくなる。このリスクを過小評価してはいけない。じっくり時間をかけられれば身についた可能性がありながら、高速で授業が進んだために落ちこぼれることがある。進路や合格大学に影響するだけではない。その後の人生を大きく変えかねない重要な分岐点となる。

・東京都心や近郊では公立中学校に優秀な生徒が残らない

説明するまでもないだろうが、千代田区や中央区や文京区や渋谷区や江東区や港区などでは、中学受験で学力上位半分が抜ける。地元公立中学には小学校時点での学力が平均程度以下の生徒が集結することになる。

世の中の縮図ではなく、世の中の下位半分の縮図のようになる。そこで過ごす3年間をどう評価するかは個々人にまかせるが、地元公立中学は社会の縮図ではないことだけは事前に承知しておくべきだろう。

高校受験を選択するということは、ほぼ自ずと、短期間ではあるが社会の下位半分の縮図に身を置くことを選択することである。それで輝く生徒もいるだろうし、それでは生きずらい生徒もいるだろう。

また長くなってしまったので、今回はここまでで筆を置く。

=追伸=

大学入試共通テストの新課程入試移行に伴う攻略法は、塾内資料としてまとめる段階に入ったので、今後は気が向いた時にだけスタッフ日記でご紹介することとしたい。

今回の攻略法は、もともと授業は持っていたものの、最近流行りの参考書ルートの考え方にそって、教材を整理し直してみたものである。

今回の取り組みで、市販の参考書や問題集を語るネット上の情報の中には、全てに取り組んで吟味をせずに少し読んだ程度で評価や講評しているモノが多いこともわかった。また大型書店で売れ筋となっている書籍しか扱えておらず、隠れた名著を発掘する能力がないと思われる指導者が少なくないことも分かった。

大切にしなければならないことは、教材でもルート(カリキュラム)ではなく、指導であることを改めて再確認することとなった。

おなじ教材をおなじカリキュラム(ルート)で取り組めば、おなじ結果につながるだろうか。受験生ごとに結果はバラバラになる。教材やカリキュラムと入試成績には因果関係はないことがわかるはずだ。それは大学入試に限られたことではない。

教材に頼る指導は、指導力のなさの証しでもある。

塾や予備校は教材やルート(カリキュラム)を売る場所ではあってはならない。売るべきは指導である。指導にこそ価値がある。

おなじ教材や同じルートであっても指導力の違いによって結果は大きく変わる。結果に対する執拗な執念なくして指導は向上しない。

参考書ルートの感想を簡潔に言えば「受験生を(意図したか否かはわからないが)騙している塾や予備校の指導者が多い」となる。

とても貴重な経験となった。


<お知らせ1>
「完全無料!受験よろず相談会!」は、そろそろ終了します。

<おしらせ2>
小6と高3の特別募集を行っています。こちらもまもなく終了となります。小6は「適性検査対策」で、高3は「大学受験英語対策」と「入試小論文対策」です。

<お知らせ3>
6月に入りましたら「夏期講習」募集のご案内を開始いたします。

<お知らせ4>
・「資料請求」と「お問い合わせ」はご遠慮いただいております。
・「お電話」や「ご予約なしでのご来室」もご遠慮ください。

*教室チラシを教室入口ドアの外に常時置いていますので、ご自由にお持ち帰りください。

<お知らせ5>
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