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三田学院

[2024年5月30日]

【都立中】予定説

ドイツの大学教授であったルターによる「免罪符」への批判が口火となった宗教改革は、「予定説」を唱えたジュネーブのカルヴァンが加わり、ヨーロッパで広がっていった。

”人が救われるかどうかは全能の神によってあらかじめ定められている”

(だから免罪符を購入しても救われることはない)

*カッコ内は筆者が加筆。

ある大手の私立中学受験指導塾がテキストの大幅な改定を行ったが、これは御三家などの難関私立中高一貫校の入試問題の難問化(思考力化)に対応するためであった。

難関校合格者数の減少を食い止めるには一定の成果が見られたが、一方で中堅校以下の合格者数を大きく減らすことになった。

新たなテキストは難関校に挑めそうな受験生には有効だが、そうではない受験生には極めて理解と消化が難しくなったことが原因だと塾関係者の間ではウワサされている。

そもそも、難関私立中高一貫校受験指導で有名な大手数社のテキストは、四谷大塚合不合偏差値(全国小学生テストではない)で55以上、サピックス偏差値では45〜50以上の私立中高一貫校が狙える素地がある受験生にしか消化できない内容になっている。しゅともし合判偏差値では60くらい以上になろう。

これは受験対策をスタートした時点でこの水準にない受験生を、指導においては実質的に切り捨てるシステムになっている。もちろん大手塾はそうだとは言わない。切り捨て対象の受験生を排除すれば経営は成り立たないからである。

そのため「免罪符」を買うかの如く、受験では成功しない膨大な数の親子が、大手塾の門をくぐるという状況が長年続いている。

難関私立中学受験においては逆転合格などほぼ起こらない。逆転合格が起きたと錯覚する受験生親子がいるにすぎない。逆転合格が起らないことは選抜クラスのメンバーが最初から最後までほぼ固定であることが証明している。起こるとしたら選抜クラスからの脱落者がポツポツと出ることくらいであろう。

実はこの予定説は、高校受験でこそ、あてはまる。

特に私立高校入試では(ごくごく一部の最難関の数校を除き)実質100%予定説が成立する。公立高校入試もほぼ100%予定説が成立する。それは中学3年の進路面談で明確となる。中には予定説が成立していることに気がつかない親子もいるだろう。面談してくれる教員が気づいていない可能性もある。

予定説が完全には成立していないのは、公立中高一貫校入試である。

まさかの逆転不合格がしばしば起こり、まさかの逆転合格が小4スタートくらいまでなら起きなくはない。

適性検査は予定説への挑戦であるかのようだ。

まだ気づかれていないかもしれないが、大学入試共通テストが予定説への挑戦かのような取り組みをを開始した。巷の予備校の多くがセンターから共通テストになって入試問題が難化したと盛んに喧伝しているが、そして年を追うごとに難化が進んでいると分析しているが、実はそうではない。

単純暗記や解法暗記が通用しない入試問題に徐々に移行しているだけだ。

それは数学の入試問題で顕著な傾向を見せたが、他の教科や科目も試行錯誤をかさねながら徐々に移行しつつある。選択科目なので目立たないが地理も大きく変化した。少し対策しただけで80%取れる科目ではなくなった。小石川の適性検査地理(適性検査社会)を彷彿とさせるような内容に変化している。

予備校で大学受験指導を専門としている講師が、都立中の適性検査問題をつぶさに分析することはないのであろう。つまり知らないのであろう。最近の共通テスト問題の講評がしばしば非常に滑稽になりつつある。

旧態依然とした知識問題や定番問題が出題されるMARCHや関関同立以下の私立大学の入試問題とは乖離がどんどん広がりつつある。

残念なことは、巷に出回っている大学入試向けの参考書や問題集が、旧態依然とした入試問題にしか対応できていないことである。共通テストの過去問を集めれば対応していることになりはするが、共通テストに移行してから年数が少ないので、これだけで傾向を掴み十分な対策をすることは難しい。

怖ろしいことは、予備校関係者だけでなく高校教員まで、センターの過去問を解いておけば共通テストに対応できると本気で信じて、本気で生徒を指導している、ことである。

大学入試で爆死が増えている。共通テストでの爆死である。

先の述べた有名私立大学や多くの国立大学二次試験は、共通テストほどには改革が進んでいないので、旧態依然とした対策で、まだなんとかなった受験生はいなくはない。

しかし今はまだ、ということでしかない。

国立大学ではお茶の水女子大学が二次試験の国語で適性検査作文を彷彿とさせる出題をした。お茶の水女子大学附属中の入学試験は数年前に学力試験から適性検査に完全移行している。

新しい大学入試も、新しい私立中高一貫入試も、都立中の適性検査を手本にしているかのようだ。


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