[2024年6月11日]
都立中を目指すか、私立中を目指すかで、悩む親子は少なくないだろう。
私立中の受験指導をする塾講師や家庭教師の中には「私立中の勉強さえしていれば都立中は力ずくで合格できる」とか「私立中の勉強に作文を少し加えれば都立中に合格できる」とか言う人がいるが、得意な私立中受験指導に我田引水しようとしているだけのことが多いので注意した方がよい。
麻布に受かって小石川に不合格になる
駒場東邦に受かって桜修館に不合格になる
これが私立中受験生の典型的な姿であることを事前に承知しておくべきである。
私立中の受験指導をする塾講師や家庭教師による「作文を少し対策すれば都立中に合格できる」という発言には特に気をつけた方がよい。そう主張する塾講師や家庭教師には、適性検査作文の出題意図や、適性作文の採点基準や、高得点になる適性作文答案とはどんな答案かを、鋭く質問してみるとよい。曖昧な回答や、はぐらかすような回答しか帰ってこなければ、詐欺師であることが判明する。もちろん、質問する側も適性検査問題とはどんな問題か過去問によってしっかり吟味しておく必要はある。
高校受験を指導する講師や家庭教師や、大学受験を指導する講師や家庭教師の中には、勝手な思い込みや、自己に都合の良いイメージだけで、公立中高一貫校について論じている人がいるが、公立中高一貫校への合格指導を専門としていないようなら、耳を傾けない方がよい。有益な情報は得られないばかりか、危険な情報の宝庫でしかない。
難関公立中高一貫校の適性検査問題を突破することのメリットに、「大学入試センター試験」から大きく傾向が変わった「大学入試共通テストへ」の対応力を小学生時代から養えることが加わった。
難関適性検査問題の指導経験がない大学受験指導者の中には「共通テストはセンターよりも大幅に難しくなった」とか「共通テストでは全ての教科や科目で読解力が強く求められるようになった」とか「共通テストではリード文が長くなり時間が足らなくなった」とか言う人が多いが、彼らのほとんどは大学受験指導しか経験がなく、全国に多々ある名門公立中高一貫校の合格指導など全くしたことがない人がほとんどであることは、承知しておいた方がよい。彼らには共通テストの枝葉はわかっても共通テストの本質が理解できていないことが多い。
全国の高校入試問題を分析してみれば分かることだが、都道府県によりばらつきはまだ大きいが、実は公立高校の入試問題の方が共通テストよりも先に適性検査問題に近づいてきている。この点においては東京都立高校はかなり遅れている方である。
保護者世代には理解しづらいかもしれないが、都立中の適性検査は、共通テスト問題もそうだが、「解法の単純暗記」や「知識の丸暗記」では正解や完答ができない入試問題となっている。
私立中学が典型的だが、合格者をその日のうちに発表しなければならないという速報性の制約から、採点がしやすい作問になりがちである。この制約から採点に時間や日数がかかる適性検査型の入試問題が出題できない。無理矢理出題しようとすると、見かけだけ適性検査風で、中身は学力試験という「なんちゃって適性検査」になってしまう。
適性検査入試を行う私立中の過去問をよく吟味してもらうとよい。ごく一部の私立中を除き、多くの私立中の適性検査型入試問題は「なんちゃって適性検査」である。
先に紹介した私立中学受験指導が専門の塾講師や家庭教師たちの多くが、こうした「なんちゃって適性検査」ばかりを見て、大いに誤解している節がある。
適性検査指導を謳う塾にも気をつけた方がよい。合格率が受検倍率の逆数と大きく違わないなら、合格指導できる能力が乏しいと考えた方がよい。形式だけ適性検査指導をしても、適性検査対策にはならないからだ。十分な才能がありながらも、怪しい適性検査指導を受けたがために、都立中の合格を逃したら、悔いても悔やみきれないだろう。
都立中を第一志望にしながらも、都立中か私立中かの悩みを払しょくできないなら、全力をもって適性検査対策にあたり、余った力をもって私立中の学力試験対策に取り組むのが最適解となる。
小学生時代の適性検査対策は、都立高校入試ではまださほど役には立たないが、今や大学入試共通テストが必要になる国公立大学や私立大学の受験で役に立つことになった。いずれ都立高校入試は大学入試共通テストに近づいていくだろうから、都立高校入試でも役に立つ日が来るだろう。
私立中を第一志望にしながらも都立中に未練がある場合は、できるだけ早く未練は捨てた方がよい。都立中の対策に時間を割いて第一志望の私立中の合格を逃しては本末転倒となる。難関私立中への合格可能性がないレベルの私立中第一志望の受験生には都立中の合格可能性はほぼないから最初から手を出さない方がよい。私立中の対策をゴリゴリに進めれば進めるほど適性検査突破に求められる思考のしなやかさが失われて行くことも知っておいた方がよい。
余談だが、都立高校は過去に起こした出題ミスや採点ミスへのトラウマから、すぐには適性検査型にはならないかもしれないが、都立中の適性検査問題の作問を経験した都立高校の先生方が多く育ってきているので、そろそろ本格移行してもよい時期ではないだろうかと個人的には思っている。
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