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三田学院

[2024年6月21日]

【都立中】私立中入試と何が違うのか

適性検査と学力試験では何が違うのか、巷では表面的な説明しかされないことが多いようだ。

・適性作文が課される
・長いリード文がある
・記述式の問題が多い
・暗記では対応できない
・知識だけでは解けない

これらは過去問さえ見れば素人でも分かる。この程度しか説明できない適性検査指導者には、あまり期待しない方がよいだろう。

指導ノウハウの開示になってしまうので、詳しくは書けないが、適性検査問題を解くために求められる能力と、学力試験問題を解くために求められる能力は、実は根本的に違う。

最新の脳科学の研究成果から、人間の脳(大脳)の特性が明らかになってきている。最新脳科学の研究成果をふまえて説明すると次のようになる。

適性検査を解くためには高い「言語運用能力」と高い「論理的思考能力」が欠かせないが、学力試験問題を解くためには必ずしも必要ない。

学力試験問題を解くためには高い「記憶力」(鮮明で詳細な記憶力)と高い「ひらめき力」(瞬発的な記憶再現力)が必要だが、適性検査問題を解くためには必ずしも必要ない。

言語能力と論理的思考力をつかさどる脳の領域と、記憶やひらめきをつかさどる脳の領域は、脳の中で全く違う部位にある。このため適性検査突破力を高める訓練だけをしても学力試験突破力は高まらず、学力試験突破力を高める訓練だけをしても適性検査突破力は向上しない。

では、適性検査突破力を高める訓練と、学力試験突破力を高める訓練を、同時並行的に行えばよいのではないかと思う人がいるかもしれないが、現実には容易ではない。極めてごく一部の才能の持ち主でない限り実現は困難である。それは脳科学が実証している。

脳の特性として、「言語運用能力」と「論理的思考能力」を高めると、「記憶力」や「ひらめき力」は平凡になることが分かっている。逆に「記憶力」や「ひらめき力」を高めるためには、「言語運用能力」と「論理的思考能力」を高めたら実現できないことが分かっている。

もちろん、程度の問題はあり個人的な能力差の影響はあるが、科学的には明確な相関関係だけでなく因果関係まで確認されている。

この脳の特性を知らずに受検指導をしても、都立中などの難関適性検査問題を安定的に高正解率で解けるようには育成できない。巷の多くの塾が高い合格率を実現できない根本的な原因はここにあるのではないかと推測している。

実は、巷の多くの見方とは違い、高い「言語運用能力」と高い「論理的思考能力」を獲得するためには、長い年月が必要となる。にわかには、「言語運用能力」を高められないし、高い「論理的思考能力」を獲得することはできない。

適性検査で難関公立中高一貫校への合格を目指すのか、学力試験で難関私立中高一貫校への合格を目指すのか、迷われているのなら、参考にしていただければ幸いである。


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