[2024年9月19日]
授業を聞いたり、知識を覚えたり、解き方を学んだり、問題を解いたりすれば、その取り組みの質や量に相関して、算数や数学や理科や社会の成績は上がっていきます。
しかし、国語だけは、いくら取り組んでも成績が向上しない人や、さして取り組んではいないのにいつも成績が良好な人がいます。
なぜしょうか?
国語力を向上させるプロセスは、算数や数学や理科や社会とは違います。それなのに、算数や数学や理科や社会とおなじように取り組んでいる人が多く、そのために国語力が向上しないのです。
漢字を覚える
語彙を覚える
文法を理解する
文構造を理解する
文章を読む
本を読む
読解問題を解く
多くの人が取り組む国語の勉強はこうしたないようでしょうか。
漢字を覚える
語彙を覚える
文法を理解する
文構造を理解する
ここまでは国語知識分野の範囲ですので必ず取り組む必要があります。
学力試験型の入試であれば知識問題は100点満点中で10点から20点が配点されることが多いです。ここで失点すると大きなハンディになるばかりか、ここで失点しているようでは、残りの80点でどれだけ得点できるかが怪しくなるでしょう。
重要なのは、知識問題を全問正解しても、それだけでは20点にしかならないということです。
都立中高一貫校や難関公立中高一貫校のほとんどでは、知識問題が出題されません。このため知識だけではまったく得点できないこともありえます。
国語力のほとんどを握っているのが読解力です。
では、読解力とはなんでしょうか?
文章が読める
文章を理解できる
国語は日本語で書かれていますので、多くの人は文章が読めて文章を理解できると感じることでしょう。
ところが、
読解問題が解けない。
正確には、読解問題で正解できないということが起ります。
これは、文章が実際には読めていない、文章を正確に理解できていないことにより起こります。
国語が得意でない人は、実は、文章が読めず、文章が理解できないのです。
漢字や語彙や慣用句などを知らなければ読解力は発揮できませんが、ただ覚えても読解力が上がるとは限りません。ただ知っているだけに過ぎないからです。
文章を読む力があるかどうかは、正しい文章を書く力があるかどうかで、分かります。
文章を理解する力があるかどうかは、誰もが理解し納得できる文章を書く力があるかどうかで、分かります。
国語力は読む訓練では向上しません。
巷の多くの国語学習法は効果的ではないのです。そのために多くの国語学習者は膨大な時間をムダにしています。
では、どうすれば国語力は向上するのでしょうか?
簡潔に言えば、
・正しい文章が書ける訓練をする
・誰もが理解し納得できる文章が書ける訓練をする
具体的にはどうすればよいのでしょうか?
正しい文章を書くための基礎的な訓練は、適切な作文の基礎問題集に取り組むことで可能です。まず単文から取り組み、その後に接続詞も使った複文や重文に取り組みましょう。文章の内容よりも、正確で正しい文章が書けることを目標にしてください。
正しい文章が書けなければ、公立中高一貫校の適性検査では、国語分野だけでなく、算数分野や理科分野や社会分野でも致命的となります。
予選落ちに近い状況になるでしょう。
次に、誰もが理解し納得できる文章が書けるようになるための訓練ですが、書く訓練の前に「要約」の訓練が必要となります。文章を使って何かを伝えることができるようになるためには、文章によって何かを理解する訓練が必要だからです。最初は短めの文章の要約から始めて、正確に要約できるようになったら、少しずつ長めの文章の要約に取り組むようにしていくとよいでしょう。
都立中高一貫校の国語分野の適性検査ではほぼ毎回この「要約」問題が出題されます。配点は100点満点中の40点であることが多いです。「要約」がどれだけ正確にできるかどうかで読解力の高低がはっきりと分かります。
要約訓練と読解力向上訓練は、鶏と卵の関係になってしまいますので、要約の訓練と並行して読解力向上の訓練をしなければなりません。
読解力の向上のために国語読解力問題集に取り組んではいけません。国語読解力問題集は読解力がどの程度まで向上したかを確認するために使ってください。このため、毎日のように取り組む必要はありません。
読解力の向上のために取り組むべきことは「探求学習」です。難しく考えていただく必要はありません。平易な表現をすれば「調べ学習」です。
・テーマを決めて調べ学習をする
・学習した内容を文章でまとめる
・文章でまとめた内容を発表する
・聞き手に伝わったかを確認する
・質問を受ける
・質問に答える
・不十分だった項目を列挙する
・不十分だった項目を改善する
これをループにして繰り返してください。テーマは広い範囲から偏りが少なくなるように選んでください。
調べる方法ですが、文章で書かれた書籍を使うようにしてください。
学校や地方自治体などの図書館に所蔵されている書籍が最適です。まず有害図書は置いていないと思うからです。
インターネットはここでは使わないでください。出典が明らかでなかったり、内容の正確性が確保できないことが多いからです。
テーマの難易度や、書く分量などは、最初は平易に感じるレベルから始めて、少しずつレベルを上げていきましょう。
どのテーマを選んだらよいか分からない場合は、適性検査問題集などで扱っている問題のテーマを参考にするとよいでしょう。問題そのままではなくアレンジしても大丈夫です。大切なことはムリなく取り組めるレベルから始めることと、興味を持って取り組める内容であることです。
発表は、まずは保護者の前で行ってみるのがよいでしょう。兄弟や友達の前でもかまいません。保護者が忙しいなどで対応が難しい場合は、通っている塾の講師や指導を受けている家庭教師でもよいかと思います。ただ適性検査指導ができる講師や家庭教師でなければ、的外れな指導が入るリスクがありますので、人選には気をつけた方がよいでしょう。
聞き手には発表者が参照した文献をすべて読んでもらう必要があります。このため発表の際に参照文献をすべて提示できるようにしてください。ここでも図書館の文献が有効になります。
・正しい日本語が使えているか
・話し言葉やタメ語になっていないか
・入手した情報には偏りがないか
・情報を正確に入手できているか
・情報を正しく判断できているか
・情報を客観的に整理しているか
ここまでが一般的な国語力の訓練になります。
・意見を論理的に組めているか
・理由や根拠は明確であるか
・自己の経験と関連づけられているか
ここまで含めると難関公立中高一貫校の入学者選抜で求められる国語力となります。新しい学力観と整合的な国語力でもあります。大学入試共通テストの現代文攻略にも必要な国語力です。そしてなにより、大学入学後や実社会に出てから求められる高度な国語力とも言えます。
聞き手には箇条書きにしたこれらを確認しながら聞いてもらいましょう。
聞き手との応答も大切な訓練となりますので、聞き手選びは慎重に行いましょう。国語力が高い人を聞き手に選ぶのがよいでしょう。
理科分野だから理科の先生に診てもらうのではいけません。社会分野だから社会の先生に診てもらうのでもいけません。理科や社会のことしか指導できない先生が多いからです。そもそも知識や公式や定理や解法に頼った指導では国語力は伸びません。
国語の先生なら大丈夫かというとそうでもありません。国語の先生は調べ学習の専門家ではありません。そもそも国語の先生に国語を指導してもらいながらも、今までずっと国語力が伸びなかったのではないですか?
国語の先生はもとから国語が得意な人が多いので、国語が得意ではない生徒の苦労が理解できないことがほとんどなのです。
国語以外が専門でありながら、文章や作文の指導もできるような人が最適になります。書き手も読み手も客観視できるような人です。
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