[2024年10月10日]
少し前の野党の党首選で「教育費無償化」を公約というか目標として闘った候補者がいたことは、まだ記憶に新しいのではないかと思う。
東京都をふくむ多くの自治体で「私立高校の授業料無償化」が実施され、この日記でも評価するコメントを書いたが、円安、金利上昇、物価高、実質収入減が顕著となった昨今は、この評価の見直しが必要絵はないかと考え直すようになった。
「私立高校の授業料無償化」は、私立高校に通った場合に教育費がまったく無償になるというものではなく、高校に支払った授業料の一部が還付されるものでしかない。いったん支払わなければならないばかりか、全額は戻ってこない。
私立高校の場合、授業料の他に、施設費・設備費、教育充実費、冷暖房費などの名目で、多い学校の場合は授業料の額に近い支払いが必要になる。
ほとんどの人が完全無料になる公立高校との額の差は、授業料無償化後も依然として大きい。
最大の問題は、この後に発生する大学授業料の負担が実に大きいことだ。国公立大学の授業料も今やかなり高額になった。私立大学の授業料は私立高校の授業料の3倍程度の年額になる。
保護者が計画しておかなければならない巨額の出費として老後費用がある。長寿化で老後に必要な資金は莫大になるばかりである。
どんな老後を過ごすかにもよるが、最低限の老後暮らしをしても、平均寿命まで生きることを想定すれば、子の教育資金の総額を大きく超える貯えが必要になる。
老化とともに徐々に必要な介助や介護が増えていき、若者や中高年のようには暮らせない。介助や介護のサービスを受けるには相応の費用がかかる。
快適な老後暮らしを選択すると莫大な額となる。
最近よく耳にするようになったのは「老後破産」である。
贅沢や無駄づかいをしたから生活が行き詰るのではない。老後暮らしの費用がかさむから破たんするのである。
後期高齢者になると年金と貯蓄しか頼るものがなくなる。後期高齢者でなくても高齢者が相応の収入を得るのは難しい。
そこで投資で老後資金を増やそうなどとすると、素人の多くはむしろ資金を失うことになる。
現役のうちに手堅く十分な貯えをしておく必要がある。
少なくとも高校までは、私立を選ばなければならないやむを得ない事情がない限り、公立を選んでおき、年老いてから子供に迷惑をかけないように、私立学校授業料は老後資金として残しておいた方が賢明である。
大学教育費の最大の費用は「子の一人暮らし費用」となる。授業料より高額になることが多い。
東京や京都は特に高い。
大学進学で一人暮らしさせるなら、一人部屋でも格安な寮がある大学がお勧めである。
大学教育費無償化よりも、希望するみんなが格安な寮に入れるようにする方が、実は親の負担は少なくなる可能性が高い。
新たに寮を新築するのが難しければ、もう一つの問題点である大都市の「空き家問題解消」とセットで推進する案も考えれれる。立法や行政はぜひ検討をしていただきたい。
今回お伝えしたかったことは「多くの人にとって、公立で大丈夫なら、高校までは、むやみに私立に行かせない方が賢明である」ということでした。
おまけで追記しておくと、私立中高一貫校に行けば、塾予備校代がかからないというのは誤解です。公立中高一貫校や公立高校進学校よりも塾予備校代がかかることが多いことは知っておいた方がよい。
学校に払う費用+通学費用+昼食代+塾予備校代 = 月に10〜18万円超(学年による)
これが私立中高一貫校にかかる平均的な月費用だと思っておくと、入学させた後に驚かなくて済むと思う。高2や高3ではもっとかかるかもしれない。
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