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三田学院

[2025年2月24日]

【中高一貫校】面倒見のよさは要注意

公立中高一貫校や私立中高一貫校を選ぶ際の注目ポイントとして、面倒見の良さを最優先する意見をよく見かけますが、この面倒見の良さも内容はさまざまで、かつ生徒によってはこの面倒見の良さが仇となることがありますので、注意が必要です。

中高6年間でもっとも成績を伸ばす可能性が高いのは、入学校の授業進度や授業レベルが心地よいと感じることができる生徒です。

面倒見がよいかどうかは最重要ファクターではありません。

むしろ面倒見がよすぎるというか、大量に課題が出る学校や、自学自習の自由度がほとんどないような学校に通いますと、それに合わない生徒は6年間苦しみ抜いて、成績は上がらないということも起こります。

面倒見の良い学校であれば、塾予備校の費用を節約できるという考えにも落とし穴があります。面倒見がよく塾予備校なしで難関大学に合格させますと豪語する私立中高一貫校に通うお子さんが、実は塾予備校に通っていたりします。

塾予備校業界では、課題をたくさん出して生徒の学習を管理する指導方針を取っている学校というのは「自称進学校」に多いというのが、ほぼ共通の認識です。成績上位層など一部の生徒には効果的なのですが、そうでない生徒にとっては、学習内容のレベルが合わず、ついていけないことが多く、意欲が大きくそがれることになり、面倒見の良さが仇となりえます。

学校選びで最も大切なことは、わが子に合った学校であるかどうかです。保護者にとって都合がよい学校ではありません。

塾予備校いらずのキャッチコピーに心躍らされるのは、実は保護者というのがほとんどのように思います。生徒にとって心躍る学校というのは、通うことが楽しく、学校生活が充実し、それでいて自分に合った受験勉強ができ、その結果として目標の進路が実現できる学校です。

中高一貫校の場合、次の入学試験は6年後の大学入試になるでしょうから、そこから逆算して判断できれば最強です。

けっして自由校を推奨しているのではありません。

わが子に合っている学校かどうかを、保護者目線ではなく、わが子目線で考えることの重要性を、お伝えしたいだけです。

わが子目線で考えたなら、中高一貫校ではなく高校受験を選択してもいいと思います。小6の成績ではなく中3の成績で学校を選べるメリットがあります。高校受験なら大学受験を迎えるのは3年後になりますから、より精度の高い目標設定や実行計画の策定が可能になります。

中高一貫校の場合、中1末や中2初などに違和感を感じると、残りの5年間がいばらの道になります。途中で地元公立中学に転入するのも容易ではありませんし、中高一貫校に在籍しながら高校受験をする場合には推薦入試(私立高校だけでなく公立高校も)が受けられないなど制約が多くなります。

「大手私立中学受験塾からなんとか私立中高一貫校に合格できたのに高校受験をして外部に出たい」というご相談が途絶えません。

中学受験をする際に、受験校の魅力にばかり注目して、わが子に合っているかどうかを十分に検討しなかったようなケースも散見されますが、わが子に合っていると判断したのに実は合わなかったケースも多いです。

安全な学校選択を心がけるのであれば「面倒見の良さ」を過度に信用しない方がよいかと思います。

学校と違って塾や予備校はいつでも変更できますから、学校選択ではリスクを最小限におさえるようにして、塾や予備校の選択でいろいろと試してみるなど積極的に動かれた方が、結果として安全なのではないかと思います。

その意味でも、公立中高一貫校は親子ともに、より安全な選択です。

そもそも授業料は実質無料ですから、私立中高一貫校のように合わなかった場合のサンク・コスト(回収不能となる支払金額)が大きくならないからです。難関大学を目指すには十分な面倒見の良さがある一方で、過度に面倒見がよい訳でもありません。ちょうどいいと感じる親子が多いようです。

難関私立中高一貫校の場合、むしろ面倒見はよくない学校が多く、それがむしろ喜ばれることが多いです。塾や予備校に通っても学校の授業や課題が受験勉強の障害にならないからです。優秀な学友がそれぞれに自分に合った塾や予備校を探して早い段階から通いますから、より柔軟かつ安全に将来の夢を実現しやすいのです。

目指す進路によって対策の仕方が大きく違います。近年では国公立大学をふくめて総合型や推薦型も重要な選択肢の一つとなっています。一般型だけが大学進学へのルートではありません。

国際系などを目指すなら高1からの英語圏などへの1年交換留学が視野に入ってくるかと思いますが、準備は中学のうちに始めないと間に合いません。理系であれば特定分野での研究実績やコンクール入賞などが必要になります。どちらも通学校からの課題が多すぎますと両立が難しくなります。

自称「面倒見の良い」学校が、あなたのお子さんに本当に合っているのか、よく検討してみられるのがよいでしょう。

親に合っている学校に子を通わせるのは本末転倒になるリスクがあることを忘れないでほしいと思います。



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