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三田学院

[2025年4月7日]

【都立中】トランプショックと中学受験

週明けの東京株式市場は一時2,800円安と、前日比で10%近い下落で取引が始まった。

香港市場は9%超の下落、上海市場も6%超の下落で始まるなど、中国の株式市場も大荒れである。

懸念していたことがついに始まってしまった。

多くの経済学者がナンセンスだと指摘し、世界の主要国が強い懸念を表明し、米国内外で反対デモまで起きているが、トランプ米大統領は強い信念で取り組んでいて政策を撤回する気配はない。むしろ、報復されればさらに追加関税率を上乗せして報復し返す構えである。

トランプ米政権が示した高関税率の計算根拠は小学生でもあきれるほどのお粗末なものだが、それがトランプ流であり、米国民の支持の源泉でもある。

追加相互関税率=MAX{10%,(貿易赤字額÷輸入総額)÷2}

日本の場合は、(貿易赤字額÷輸入総額)÷2=24%になるので、24%の追加関税が課された。

強い米国を復活させて没落した米中間層や米下層の人々を救うためには、この荒療治しかないと考えているようだ。目標が達成されるまで今回の関税政策は続く可能性が高い。

株価はおよそ半年先を見て動く。

株価の下落が底打ちをするためには、悪材料がすべてで尽くことが必要になる。よって今回の株価下落はほんの入り口でしかない。

東日本大震災など強烈なインパクトがある際には、株式市場は短期間で半値程度まで下げたことがあるので、日経平均株価で20,000円前後まで下がることがありうることを、覚悟しておいた方がよいかもしれない。

大学受験用の地理統計資料集で、高い相互関税が課された国々を確認していくと、対米国輸出額が国別で1位の国がほとんどである。そして対米黒字(米国にとっては貿易赤字)の額が大きい国々でもあることがわかる。

<参考文献>
・地理データファイル、帝国書院
・データブック オブ・ザ・ワールド、二宮書店

中国
インド

スイス

カナダ
メキシコ

これに中国から米国への迂回輸出が行われている国々も高関税率となった。抜け道をあらかじめふさいでおく意図があったと思われる。

タイ
インドネシア
ベトナム
カンボジア

日本や韓国や台湾の輸出先第1位は中国であるため、関税率はこうした国々と比較して相対的にやや低めとなった。ただ日本も韓国も台湾も対米黒字額が大きいため高関税の対象になったのであろう。

今回のターゲット国が中国であることは一目瞭然である。中国に経済的な覇権を渡さないために、他の友好国にも泣いてもらうしかないと決断したしたのが「トランプ関税」の神髄ともいえる。

ロシアが相互関税の対象から外れたのは、すでに強力な「経済制裁」を科しているからである。高い追加関税をかけるよりもさらに厳しい経済的な措置がすでに実施されているので、追加関税の必要はなかったのである。おなじことはイランや北朝鮮にもいえる。

インドにも高関税をかけたことには個人的には少し驚いている。中国を倒すまでは味方につけておこうとするのではないかと考えていたが、ロシア産原油などの大規模な輸入で腹を肥やしていたインドにも強い一撃を食らわせるしかないと判断したのかもしれない。あるいは例外を作らないことで強い意志を示したのかもしれない。

イギリスに対しては甘い対応をしたことには疑問が残るが、アメリカのルーツであることに配慮したのであろうか。つまり最後は米国と一蓮托生の国と考えたのであろう。

今回の高関税はトランプ政権が政治的な目標を達成するまで続く可能性がある。高関税がブーメランとなって想定以上にアメリカ経済を揺るがし、強いアメリカを実現することの強い障害とならない限り、続けられるであろう。

中国共産党政権が直ちに報復関税を発動したことで、米中経済戦争はさらに激化しそうである。中国経済に依存してきた日本や韓国や台湾などは、相当に厳しい経済運営を強いられることになりそうだ。

高い関税の影響は時の経過とともに強まっていくことになる。すでに綱渡りを続けてきた経営難の企業や、家計に余裕はないが何とかしのいできた個人は早々に影響を受けるだろうが、経営体力のある企業や家計に余裕のある家庭はしばらくは持ちこたえるだろう。本格的な影響が顕在化するのはまだこれからである。

テーマを本題に戻すが、わが子の教育は中長期的な計画と予算で取り組まなければ目標を達成できない。今はまだ余裕があっても、リスクシナリオにもしっかり備えられる計画で臨む必要がある。

日本経済が本格的な打撃を受ければ、回復には長い年月がかかることになるだろう。途中で教育資金切れを起こさないように、十分な余裕をもって取り組むのが安全であろう。

リーマンショック後に急激に私立中学受験率が低下したように、受験市場に与える影響は深刻になる可能性がある。

最後に、受験指導をしている身から個人的な意見を述べておきたい。

受験生諸君、社会科を深く学んでおくことは、受験の役立つだけでなく、社会人になってからこそ役に立つので、受験科目に選択していない科目であっても、特に高校地理や高校世界史はしっかり学んでおくことをお勧めする。真剣に学ばなかった人とは世界が違って見えることだろうと思う。


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