[2015年5月1日]
『所得格差』が『教育格差』につながっているという説は、はたして正しいのでしょうか。
ここでは『教育格差』を「学力格差」と読み替えて検証します。すべての私立大学を含めてしまうと、大学全入時代であることから「学力」を説明できなくなってしまうため、一定以上の学力がないと進学できない『国公立大学への進学率』を、『親世帯の所得金額』を使って分析した研究をご紹介します。
「高校生の進路と親の年収の関連について」(東京大学大学院教育学研究科、大学経営・政策研究センター)の分析によると、国公立大学への進学率は、親の所得(両親年収)が200万円以下で10.6%、400−800万円で10.9%、800−1000万円で10.1%、1200万円以上で12.3%と、大きな変化がありません。むしろ親の所得の影響は無いと判断するのが客観的です。『経済格差』が『教育格差』の真の原因ではないことが分かります。
親の所得が多いほど、高い『学力』を身につけることができるというなら、実際に高所得者の子弟ほど難易度の高い大学などに進学していることになり、実態と乖離していることにお気づきになるでしょう。
すべての私立大学を含む大学進学率では、親の所得が高いほど大学進学率が高いため、『経済格差』が『教育格差』を生んでいるように見えているだけです。確かに極端な生活難で就学がままならない方々も皆無ではないでしょう。しかし、分析結果からは、『親の経済格差』が『子の教育格差(学力格差)』を生んでいるとは言えないのです。
では、何が『教育格差』(学力格差)を生んでいるのでしょうか。ご興味のある方は、体験授業の際にご質問ください。