[2015年12月20日]
作文が出題される学校がほとんどの公立中高一貫入試。
この「作文」を攻略できなければ合格はないと思うのが自然でしょう。
「何とか作文力をつけなければ・・」
「作文が得意だから有利かしら・・」
でも、ちょっと待ってください。「入試作文」と「一般的な作文」はまったく同じではありません。
過去問や出題傾向を分析すれば直ぐにわかることですが、適性検査として出題される作文は、課題(お題)だけが示されるのは少数派で、次のようなパターンがほとんどです。
?長文の読解を伴うもの。
?資料・実験を伴うもの。
?絵・図・写真などを伴うもの。
また、解答に当たりいろいろな制限が示されることも多く、自由度の高い「一般の作文」とは大きく違います。
むしろ、「国語の解答欄の字数が多い読解問題」、「理科や社会などの記述式問題」に近い形態になっていることが多いのです。
作文力だけではなく、その前に小学生としての知識・教養、読解力・分析力・判断力・思考力が必要ですので、作文力だけ磨いても合格力はつきません。
都内公立中高一貫(複数校)の採点担当教員の「本音」というか「恨み節」ようなお話をよく耳にします。
?頻出問題の模範解答を丸暗記したような答案が多い。
?やたらと文章だけが上手な答案が多い。
どちらも合格ラインを超えられません。(まったく同じ問題は出さないので、問題に対して)「的を得ていなかったり」、(意見や根拠を示すことができず)「中身が薄かったり」するからです。こうした答案をたくさん読まされるのは、もうウンザリしているそうです。
また、都内でも、いつの間にか適性検査から「作文」が消えたり(実質、国語の読解問題に変更)、「作文」以外の適性検査問題の増量(追加)で「作文」の比率が実質的に引き下げられたりする事例も見られます。公立中高一貫入試の初期に見られた「作文力だけによる合格」を実質的に排除する動きと見てよいでしょう。
「作文」に振り回されてはいけません。
都内の公立中高一貫校の受験生の多くが難関・中堅私立中学と併願しています。合格者したにもかかわらず入学辞退する生徒が多いのはこのためです。公立中高一貫校では入学辞退者の進学先を把握しています。ほとんどが有名な私立進学校です。
競争相手は私立中学受験生だと思ってください。作文対策などほとんど行っている時間のない生徒たちです。そんな生徒たちが余裕で合格し、そして多くの生徒が公立中高一貫を蹴っているのです。