[2016年1月29日]
中学受験(公立中高一貫への受検を含む)を希望して入塾される保護者に、中学受験(受検)を検討した理由をお聞きしていると、以下のような声が多いです。
?良い環境で学ばせたい。
?優秀な生徒と一緒に学ばせたい。
?しっかり勉強してほしいから。
?公立中学だと不安がある。
?公立中学には合わないと思うから。
???はポジティブな理由に、??はネガティブな理由に分類できると思いますが、お話をじっくり聞いていると、どれもほぼ同じ理由だということがわかります。
それは、公立中学へ入学させることへの不安が背景にあるということです。
少し話が飛びますが、東京都教育委員会公表の公立学校卒業者の進路状況調査の平成27年度調査(平成26年度実績)によりますと、東京都の都区部における公立中学への進学率は約77%と80%を下回っていることがわかります。
公立中学への進学率が低い都内の自治体は、最も低い千代田区が約55%で、中央区、文京区、港区が60%を切り、目黒区、世田谷区、渋谷区、新宿区が70%を切り、杉並区、中野区、豊島区、武蔵野市、台東区、品川区が75%を下回っています。
このデータからは、どうのような学力層が公立中学へ進んでいるのかは分かりませんが、ほぼすべての中学入試では学力試験が実施されていることから、学力上位層は公立中学へはほぼ進学していないと見るのが自然でしょう。
都心部などでは、こうした状況も公立中学へ入学させることへの不安を募らせているようです。
さらに、塾生の保護者面談をしていて浮き彫りになってくるのが、それぞれの公立小学校に、学習環境を損なういわゆる『問題児』が少数ながら存在していていることへの懸念です。こうした児童と一緒に学ばせたくないという本音が見えてきます。また、やっかいな保護者の存在を危惧する意見もあります。
あまり使いたくない呼び名ですが、問題児を「モンスターチルドレン」、やっかいな保護者を「モンスターペアレント」と書き換えると、もっと分かりやすいかもしれません。こうした方からは遠ざかりたいというのが本音のようです。
「モンスターペアレント」(以下、「モンペア」)とは、一般的に『学校などに対して自己中心的かつ理不尽な要求をする親』のことを指しますが、「家庭におけるしつけや教育を顧みず、わが子が学校などで問題を起こしたり、学習成果が上がらないことなどをすべて、学校や他の児童・保護者の責任にする」という特徴があります。本人は自分を「モンペア」だとは思っていないことが多いことに問題の深刻さがあります。クレーマーなどど同じ『自己愛性人格障害』と見られます。教育現場で推進されている『自己肯定感』や『自己有能感』とは異質のものです。
「モンスターチルドレン」(以下、「モンチル」)とは、一般的に『学校や教員などに対して狡猾にいやがらせをする子供』を指し、従来は反抗期を迎えた小学校高学年・中学生・高校生に多く見られたのに対し、小学校低学年から頻繁に見られるのが特徴だそうです。学級崩壊の直接的な原因ともなっています。
親のしつけがなっていないことが主な原因の『低学年型』と、自らの意思で確信犯的に学校や教員などを困らせる『高学年型』に分けられるという見方もあります。教師を挑発し休職や退職に追い込むのは『高学年型』です。
「モンチル」の親が必ずしも「モンペア」ではないことがある一方で、「モンペア」の子供は「モンチル」であることが多いようです。
「モンペア」や「モンチル」から逃れることが最大の理由なら、中学受験の費用には割高感と理不尽さが否めません。