[2016年3月5日]
入試の国語の問題で、なぜ『物語文』が出題されるのかご存知でしょうか?
『読解力』を試すため、という回答が聞こえてきそうですが、正解(完答)ではありません。
『物語文』で必ず問われるのは、登場人物の『心情』を問う問題です。『読解力』だけを試すなら、必ずしも『物語文』である必要はなく、むしろ『説明文』や『論説文』の方が適しています。
人は社会の中で生活を送っています。学校生活も例外ではありません。クラスメート、教員、他の保護者などの『心情』を理解できない生徒は、学校生活を円滑に過ごす能力が十分に育っていません。逆に、『心情』を読み解ける生徒は、学校、家庭、地域社会でトラブルを起こす可能性が低くなります。
出題者である学校は、このことを痛いほど認識しています。進学校であっても、「いじめ」、「生徒間のトラブル」、「教員とのトラブル」は皆無ではないからです。トラブルを起こしかねない生徒より、『心情』を理解できる『対人関係能力』の高い生徒に入学して欲しいのです。『物語文』を出題する本音はここにあります。
推薦入試と違い、一般入試では『面接』を実施できない場合がほとんどのため、『学力』以外で、どんな生徒が入学してくるのかつかみにくくなります。『物語文』を上手に活用すれば、トラブルメーカーを排除できる可能性が高まります。しかし、国語の問題に占める『物語文』の比率が高すぎると、過去問を分析した受験生や保護者に敬遠される恐れもでてきます。『物語文』を適切な比率で出題するのがミソなのです。
今年度入試で、これまで長年に渡り『物語文』を出題してこなかった人気校の中に、新たに『物語文』を出題した学校があります。どんな生徒を集めたいのか透けて見えそうです。
あなたのお子様の『読解力』は育っていますか?