[2016年3月11日]
今年度の高校入試で定員割れをした高校に、ある「都立中高一貫校の高校募集枠」がありました。
高い人気と高い入試倍率が続く都立中高一貫ですが、高校募集も合わせて行っている「付属中」型の中高一貫校で「定員割れ」が起こってしまったのです。
「定員割れ」ですから、都立の場合、受験生は原則「全員合格」します。その上で「定員割れ」した人数の2次募集が行われます。
なぜ、こんなことが起こっているのでしょう?
中学受検して不合格になった人はもちろん、合格した在校生も、さらに卒業生も、この事実を知って「複雑な心境」であるに違いありません。
「あの公立中高一貫は、高校から入ろうとすれば全員合格する」と言われかねません。
主な理由として考えられるのは、付属中型の公立中高一貫を高校受験して入学する(「高入」)すると、「中学から内部進学してくる生徒の学力についていけない」という状況があることです。
もちろん全員ではありません。しかし、全ての生徒が高校入試を経て入学してくる一般の高校とくらべ、学力の開きが大きいのです。
必然的に、入学当初から「落ちこぼれる」生徒が少なからずでてきます。つらく厳しい高校生活を送ることになります。こうしたことから敬遠されているようなのです。
では、高校募集のない「中等教育学校」なら大丈夫なのでしょうか。そうとは言い切れません。高校募集がない分、中だるみを防止する刺激が少なく、継続して真剣に勉強に励むことができる人と、そうでない人がでてきます。生徒の学力差は「二極化」していると言われています。
実は、こうした現象は以前から「私立学校(私立中高一貫)」や「国立付属学校」でも起きていました。これが都立中高一貫でも起きただけにすぎません。
誰もが知る最難関私立中高一貫校の高校入試では、定員100名に対して、合格者を200名前後出します。そうしないと定員100名を埋めることができないからです。合格者の半分が辞退することをあらかじめ想定しているのです。
また、同じ最難関私立中高一貫校では、多くの最難関国立大学合格者や医学部合格者を出す一方で、G−MARCHレベルの私立大学にも合格できない生徒が多数います。
知る人ぞ知る事実なのですが、知らない人も少なくないのです。
志望校選びは、しっかり情報収集した上で「冷静に」ご判断ください。
くれぐれも、「心酔」したような心理状態でご判断されないことをお勧めします。