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三田学院

[2016年3月19日]

偏差値を正しく理解しているか?

受験の世界でよく使われる「偏差値」。でも、正確に理解している人はどれだけいるのでしょうか?

正確を期すため計算式を示しますが、可能な限り簡単にご説明しましょう。

偏差値(t)を導く式(公式)は以下のとおりです。

t=(得点−平均)÷標準偏差×10+50

つまり、「あなたの得点」が「平均点」から「どれくらい離れているか」を、「50」を基準にして示します。

標準偏差は、それぞれの受験者の「得点と平均との差」を二乗したものを合計し、その平方根をとって計算します。二乗することで差の±の符号を消し、実際のちらばり具合の値を求めることができます。

?あなたの得点と平均点が同じとき、
(得点−平均点)÷標準偏差×10=0、となるので、標準偏差に関係なく、あなたの偏差値は「50」です。

?あなたの得点が55点、平均点が70点、標準偏差が15のとき、
(55−70)÷15×10+50=40、となるので、あなたの偏差値は「40」です。

?逆に、あなたの得点が85点、平均点が70点、標準偏差が15のとき、
(85−70)÷15×10+50=60、となるので、あなたの偏差値は「60」です。

?また、あなたの得点が100点、平均点が70点、標準偏差が15のとき、
(100−70)÷15×10+50=70、となるので、あなたの偏差値は「70」です。

受験者の得点の分布が「正規分布」すると仮定すると、
全体の約68.3%が偏差値40−60の範囲に入ります。また、
全体の約86.6%が偏差値35−65の範囲に入ります。また、
全体の約95.5%が偏差値30−70の範囲に入ります。

偏差値66以上は受験者の約6.7%、同じく偏差値34以下も約6.7%しかいません。
偏差値71以上は受験者の約2.3%、同じく偏差値29以下も約2.3%しかいません。

同学年の児童・生徒が全員受験した場合(学力テスト型模擬試験の場合)、

偏差値66以上は、「学級トップ3傑」相当の学力です。
偏差値71以上は、「学年トップ」相当の学力です。(実際の学年順位は生徒数や学級数による)

偏差値34以下は、「学級ビリ3傑」相当の学力です。
偏差値29以下は、「学年ビリ」相当の学力です。(実際の学年順位は生徒数や学級数による)

偏差値は、模擬試験などの場合、受験者層が違うと値が違ってきます。偏差値は「○○模試の偏差値」として利用してください。別の模擬試験の「偏差値」と比較することや、別の模擬試験の「志望校偏差値ランキング」を利用して合格判定することはできません

また、小学生の場合、中学受験生向けの模擬試験(受験型)と、中学受験しない児童を含む学力テスト型模擬試験(学力テスト型)では、同じ受験生が受けても偏差値が大きく違ってきます。受験者層(母集団)が違うため、平均点や標準偏差が違うからです。

模擬試験にもよりますが、受験型模擬試験の偏差値は、学力テスト型模擬試験よりも、分布の中心以下で10〜15程度、分布の上位側の裾付近でも5程度、値が低く測定されます。これは、中学受験を目指している高学力層の学力平均を50とするか、中学受験を検討中かしない層の学力平均を50としているかの違いのためです。受験型と学力テスト型の偏差値を比べても意味がありません

合格可能性判定は、受験者数(サンプル数)の多い模擬試験ほど精度が高くなります。また、幅広い学力層の受験者を獲得している模擬試験(学力テスト型)の偏差値ほど、実際の学力分布に近くなり、直感的な学力を把握しやすくなります。

最後に、ここまでを理解できた人なら、「テストの点数を10点UP」させることと、「偏差値を10ポイントUP」させることでは、どちらが難しいかわかりますよね。