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みなと学院
田町校

[2009年8月13日]

書籍:受験社会のワザあり解答テクニック

中学受験用の自習用参考書として評価の高い文英堂の「裏ワザテクニック」シリーズの新刊。著者の下地英樹先生は同じ出版社から、中学生用の白地図も出しており、こちらもなかなか優れものの問題集である。

下地先生の参考書は、ただ項目を並べるだけではなく、「ここを覚えてほしい」という先生自身の思いが強く伝わってくるものが多いので、社会が苦手な生徒の自学自習用に最適である。

今回の本も、中学入試でよく出題される要点に絞り、図表や語呂合わせなどで、農業統計や、苦手な生徒が多い地形図の読み取りなどが理解しやすいように整理されている。

歴史も時代に縛られず、経済史や文化史を横断してまとめているので覚えやすいだろう。写真やよく出る資料を解説付きで駆使しているのも実用的だ。

また、よくあるただ覚え方のテクニックを並べただけの裏ワザ本と違い、理解が必要なところはきちんと理由を説明してあるところがいい。社会は暗記要素が大きいが、ただやみくもに暗記するだけでは覚えきれないし、忘れてしまう確率も大きくなる。きちんと理由を理解しておけば、多少忘れても問題を解く過程で思い出せる。

網羅的な参考書ではないので、これ1冊で受験社会をカバーするのは無理があるが、社会が苦手で、なかなか社会の内容が暗記できない生徒や、そんなに苦手ではないのに、社会の点数が上がらない生徒は一読する価値があるだろう。

薄いので、秋口から受験本番に向けての知識の整理にも使える1冊。

ただし、前述したように著者は「こう覚えるといい」という思いが強く出ている分、本の中の著者のにおいが強い。今通っている塾の暗記法や勉強の仕方とあまりに違っている場合は注意した方がいい。自分で内容を取捨選択して整理できる生徒はいいが、それができない生徒だと混乱してしまう場合もあるかもしれない。

それだけ気をつければ、裏ワザ本としては非常に良心的な本である。

受験社会のワザあり解答テクニック
著者:下地英樹
出版社:文英堂
ISBN 978-4-578-21012-2