パソコン版を見る

みなと学院
田町校

[2009年10月17日]

水は方円の器に随う

今週は10月の進学相談会を開催している。通常の生徒は学期毎に面談を行っているが、受験生は2学期以降は、希望者を募って、毎月行っている。

志望校、今後の学習方針、生徒のメンタル面についての相談と、話すことは多いが、この時期になると、時々出てくる話が、志望校のランクを下げたいという相談だ。

中学受験生からはほとんど出てきたことはないが、高校受験生、とくにレベルの高い生徒から相談を受ける場合が多い。

もちろん、家庭の方針で都立に絶対進学したいので、より安全圏の学校を選択したいというような場合はやむなしなのだが、第2志望もきっちり決まって、チャレンジするのみなのに、ランクを下げる相談を受けると、正直「なんで?」という気持ちになる。

そういう時にほとんどの生徒が言う言葉が「レベルの高い学校で苦労するよりも、余裕のある学校でトップを狙いたい」という「鶏口牛後論」だ。

う〜ん。

言いたいことはわかるんだけどねぇ。

「鶏口牛後」は確かに一面の真実だが、それは精神の心構えを言っているのであって、高校という人生の修行の場で、最初から鶏を狙うのはいかがなものだろうか。

私の経験上、そう言って本当に鶏口になった生徒はあまりいない。余裕の学校でそこそこの成績になってしまう場合が多い。

またランクを下げた生徒はだんだん偏差値が下がる傾向がある。夏期講習明けの模試では、60台後半を取っていたのに、志望校を変更すると徐々に下がっていき、最終的には志望校よりちょっと上くらいになってしまう場合が多いのだ。

水は方円の器に随う。

器が四角なら四角く、丸ければ丸く、大きければそれだけ水を溜めることもできるのだ。

ほとんどの生徒は受験というものを人生で2回しか受けることができない。

そのたった2回の中で、力を惜しまず、全力を尽くすこと。そして、時に実力以上を出すことができた経験。

それは学生時代だけではなく、実社会に出たときに自分自身の大きな財産になるはずだ。

力の出し惜しみはしないでほしい。日々、指導をしながら切実に思う。