[2009年10月28日]
いよいよ今週末から11月に入り、入試本番まであと少しになってきた。
中学・高校・大学の各受験生はどうしてもナーバスになりがちな時期だが、この時期に特に気をつけなければならないのは中学受験生だろう。
高校生はもちろん、中学生も3年生になるとだいぶ大人びてくる。もちろん、それぞれ受験へのプレッシャーは感じているが、ある程度自分で調整できるくらいは精神が成熟している(たまに例外もいるが)。
しかし、中学受験生は、所詮、まだ小学生だ。自分自身で精神のバランスを取れるほど成熟していないし、精神のバランスが崩れると、それが即成績に反映してしまう。
この時期に、あまり保護者がプレッシャーをかけると、その言葉自体が重みになり、枷になってしまう事も多い。
「このままでじゃ志望校に受からない」「なんで100点取れないの」「馬鹿じゃないの」などの否定的な言葉をずっと投げかけられると生徒の心が挫け、やる気も出なくなってしまう。塾でフォローをしても、小学生の場合はどうしても限界がある。
確かに、保護者の方の気持ちもわかる。中学受験の人気校は倍率が高く、ほんの数点差で合否が分かれる世界だ。面接をしていても、保護者の方の子供を思う気持ち、そして不安・心配は痛いほど伝わってくる。入試間近のこの時期ならなおさらだ。
だが、この時期だからこそ、気持ちにセーブをかけ、子供に肯定的な言葉をできるだけかけてほしいのだ。
中学受験は難しい。まだ11才や12才の子供が高校受験レベルの知識の習得や理解度を要求される。大人の目から見たら、まだまだ未熟でも、彼らなりに未だ幼い精神で必死にがんばっている。
きちんとできていない箇所を把握し、その穴埋めをしていくことは重要だ。だが、そこに否定的な言葉を入れてはいけない。決められたことを守らない場合は叱ってもいいが、あくまでその事実を叱るべきで、人格的な否定をしてはいけない。
そして、この時期に一番大事なこと、それはちょっとしたことでもいいのでほめてあげることだ。
今までできなかった問題ができるようになった。模試の成績が少しでも伸びた。何かをやりとげた。些細なことでいい。
それが、子供の心に火をともし、やる気を引き出し、ひいては本番で実力以上の力を与えることもあるのだ。