[2025年4月28日]
『「分からない」って言わないのだから「分かってる」んでしょ!良いことじゃない!』って言われる皆さまからの声が聞こえてきそうです。
その通りです。本当に全員が全部分かっていて「分からない」って言わないのなら理想です。
塾とすれば、そうなるように・・・そうなって欲しくて「面倒臭がられながらも」指導しています。
塾生や体験授業を受けてくれた生徒、中学校で生徒たちと接してきた経験、塾に説明を聞きに来られた生徒、カウンセリングを行なった生徒等、大勢の生徒たちと接してきた経験から、原因や生徒たちの感情・感覚を考えてみました。
大きくは、生徒の性格・感情がそうさせている場合と、【分かる】【分かっている】の定義に疑問がある場合の2つに分類できると思います。
性格・感情から「分からない」と言わない生徒の1つは、授業中に周りの生徒に聞かれたり、「えっ?そんなことも分からんの?」と思われるんじゃないかと勝手に思い込み、「とにかく黙って聞いていれば、その内分かる」や「多分、先生が、もう一回くらいいってくれるはず」とマイナスの思考をする生徒です。2つ目は、「多分、こんなことを言っている」「あぁ、何だ。これだけを覚えておけば良いんだ」「だって今まで(小学2年から)ず〜っと、このやり方で高得点を維持してきたんだから・・・」「自分は、良い子で正しい勉強方法だから、多分分かっているはず」との【過信】なのか【勘違い】なのか【思い込み】なのか分かりませんが、多分プライドでしょう。
定義の場合です。「分かっている」って、何をどこまで理解して覚えている状況でしょうか?
生徒と接して授業をしていると、生徒の理解度や生徒が「分かる」と理解している言葉の定義や本当にどれくらい「分かっている」のかが手に取るように見えるようになってきました。
体験授業や入塾間近の生徒に「どこか、分からんところある?」って聞くと、ほとんどの生徒が「無い」と答えてくれます。「じゃあ、この問題できるかな?」と(少し意地悪ですが)ほとんどの生徒が【苦手】としている問題を尋ねると十中八九「分かりません」となります。
ヒドイ場合には、中学2年生に小学校5年生の単元を聞いて『これ分かる?』って尋ねると、「うん分かるよ。そこ嫌いだったから、もう忘れたけど・・・」と。これは【分かる】に該当しますか?
「分かる」と「知っている」「聞いたことがある」「やったことがある」は大きく違います。
先刻問題が解けなかった生徒に説明すると「知ってるよ」「分かってるよ」と自信満々に答えます。
当然です。過去習った問題を聞いているのですから・・・「やった」「聞いた」に決まってます。
「分かっている」とはその単元に登場する用語や公式を理解・暗記し、次回の初見問題のときに組み合わせたり利用したりできるまで残っていることです。周りに説明できることです。
この状態を100だとすれば、理解度を説明するのが簡単です。
30以下の生徒は「分からん」と言ってくれますが、これは一般的には【さっぱり】と呼びます。
40くらいの生徒は「分かってる」「知ってる」って言います。これは生徒の中では「何か、こんな感じ」と理解しているだけなのです。
60くらいの生徒は周りの30の生徒に説明できていますが、これは先生が説明して下さった式と答えを滔滔としゃべっているだけなのです。理解内容は一般的には【多分こんな感じ】なのです。これ位でも定期テストでは、そこそこ高得点がとれてしまうので本人はもちろん、保護者も気付けません。
80〜90の生徒も同様です。クラスで最上位の得点なので本人的には【私は完璧】【自分はすごい】【自分は・・・自分は・・・】です。でもこれでは入試や大学受験では使えません。だってこれは【先生が言ってたから・・・】勉強で自力ではすべてには対応できていません。ワンアドバイスで解けてしまうので「ほら、やっぱり自分は正しい」となって私たちが困ってしまいます。ここで素直に更に上を目指してくれるか「だって学校では・・・」「だって今までは・・・」と受験直前になって頭を抱えているかは生徒の性格・感情次第です。そのままで目標に手が届いた生徒の方が少数派なのです。大変なのです。
私たちが一番手を焼いているのが30の生徒と、この80の生徒なのです。