[2025年5月31日]
最近の成績不振生徒の保護者が「うちの子は文武両道で育てます」と言う風に言われます。
「はっ?」ってキョトンとしてしまいます。
「勉強とスポーツの両方をやれば、両方上手くなるはず」と言う意味で言われているようです。
辞書によると、“文武両道に秀でる”「文芸と武道の両方に優秀な成績を修めること。または修めた人」とあります。“一芸に秀でる”と言う言葉もあります。「ひとつの事を一途に努力して、その事については、他に類を見ない位に上手い事」という意味だそうです。
つまり、前記のような保護者は「両方を何となくでもやらせてれば、両方普通以上になれる」と期待と希望的誤解で使われているようです。
昔のテレビドラマの「ルーキーズ」のように『勉強なんか関係ねぇ。毎日野球だけやってれば・・・』なんて、絶対に無いのです。
何人かのスポーツ指導者と意見交換した時のことをお話しします。
ある野球監督は「宿題やテスト勉強は絶対。やるべきことをやらずに練習に来ても上手くならないし、レギュラーには使わない」と宣言していても「宿題は帰ってからやれば同じことでしょ。休んだらレギュラーを取られるから・・・」と子どもより、母親が言い付けを守らない場合が多い。
ある空手の師範は「入門すると礼儀作法が身に付くから・・・と、連れて来られる方が多いが、礼儀は気持ちや心から出るもの、本当にキチンと礼儀が出来てる子は本当に強くなる。逆に形だけで礼儀の気持ちが無い子は全然上達しない。私たちは競技人口を考えて一応受け入れるけど・・・」と
あるバスケの監督は「ポジショニングとチームの全体を見ろ」と教えているが、「ディフェンスの子が、パスもせず、とんでもない位置からシュートをする。確認すると、親がワンゴール500円の約束をしているとのこと」と我が子と自分の体裁だけの保護者にウンザリと言われてました。
テニスや野球やサッカーで世界的に活躍している選手を見て、『我が子もこうなってくれれば…』と親の希望や欲で強制していることも多いらしいです。
小さい子に体験的にやらしてみると必ず「楽しい」「続けたい」って言います。
何故なら今までの遊びと違う初めての感覚や楽しみに触れたのです。
そのまま中学に入ってもクラブで続けていて「楽しい」って言います。当然です。結果も入賞も賞金も大会も求められていないのですから・・・。
結果よりも「頑張る〜〜!」が何よりも生徒の自慢であり親の喜びなんです。
そこで「だってクラブが〜〜」と勉強を疎かにしていても「クラブを頑張っているんだから・・・」と親はニコニコ顔で見て見ぬふりです。
高校でもこの「遊びの感覚」「楽しいから」の中途半端な意識でクラブを続けていると・・・。
そのままでは、勉強も中途半端。スポーツも中途半端。どちらも「多少経験がある」程度で終わってしまいます。
近年のスポーツ有名校は偏差値が高い学校が多いです。昔の様に「朝から晩まで練習して、大会で名前が売れたら卒業」なんて無くなりました。
世界に進出している一流のアスリートは皆さん優秀です。現地の言葉は直ぐに理解出来て、仲間ともコミュニケーションが取れています。通訳は契約やマスコミ対応にしか使っていません。
「・・・じゃない選手」は短期間で帰国されている方が多いです。
かの「イチロー」さんも高卒でプロに入ってなかったら、東大への合格も可能だったそうです。
誤解を恐れずに言いますと「バカは一流のアスリートにはなれない」ということです。
つまり【文】も【武】も“おまけ”や“残り時間”では決して出来るようにはなりません。