[2018年6月3日]
「小中学生向け推薦図書」
書籍名:『ガラスの地球を救え』
著 者:手塚治虫
あらゆる世代に大きな夢を与えた漫画家、手塚治虫さん。
『鉄腕アトム』『火の鳥』『ブラックジャック』『アドロフに告ぐ』など、
数多くの名作を世に送り出し帝王の名を欲しいままにした漫画家です。
この本は、その本人が小中学生にもわかる言葉で綴った、これから地球に生きる全人類へのメッセージです。
ハイテク技術で武装したロボット、不思議な力を持つ3つ目の少年、永遠の命を持つ火の鳥、独裁者、音楽家、そして動物などなど、
主人公とストーリーのバリエーションは異なっても、彼の描いた全ての作品の底に流れているものが「命の尊さ」であることはよく知られています。
本の中では、それぞれの漫画やアニメでそれをどう表現しようとしたのかを、現代における科学の進歩のあり方や自らの戦争体験などを織り交ぜて興味深く伝えています。
小中学生に薦める理由はこれだけでも充分だと思いますが、
今回、この本を強く推薦したいもうひとつの理由があります。
それは、幼稚園から小学校にかけて相当な?いじめられっ子?だった彼が知恵を絞って自力でその状況を脱し、その後いかなる経緯で漫画家になったか、という部分です。
これにはいろいろな複線があって、「なるほど!」と思わせるエピソードでいっぱいなのですが、
とりわけ、あれだけ膨大な数のストーリーを書けるようになった源が、
実は小学校の作文の先生による、ある一言のアドバイスだった、という点が興味深いのです。
そして、これを読んだ子どもたちの一人でも多くが自分のキャパシティーに挑んでくれることを祈りたい気持ちです。
では、あの手塚治虫の人生を決定した助言とはどんな内容だったのか?
『文章は下手でも字はメチャクチャでもいいから、とにかくたくさん書きなさい。一つのテーマ、タイトルを見つけたら、それについて徹底的に十枚でも二十枚でも、書きたいだけ書いて、そこで自分の言いたいことを全部言いつくしなさい。』(「先生がマンガに熱中させた」より)
心が震える素晴らしい言葉だと思います。
手塚先生さながら、学校の先生も偉大だったと言えるのではないでしょうか。