[2026年5月20日]
これまでの「読む」・「書く」中心の英語教育を、「聞く」・「話す」を加えた4技能にしようと試みられたのが英語4技能教育である。
この英語4技能教育が推進された背景には、中高大10年間も学校や大学で英語を学びながら、英語を使えない人材が多く排出されてきたことに対する産業界などからの不満や懸念があったというのが一般的な解釈であろうか。
文部科学省は、英語4技能教育を導入する前から、英語教育の早期化に取り組んでいた。具体的には小学校段階で国際科という名目の英語教育を実質的に開始していたことがあげられる。
学習指導の現場にいると、これらによる影響をひしひしと感じる。
まず、国際科の導入による早い段階から実質的に英語教育を始めたことの影響は、かなり早くから顕在化してしていた。
英語成績(公立中学の英語定期テスト成績)の「ふたこぶラクダ化」である。
通常、テストの成績は平均点付近をヤマとした「ひとこぶラクダ」になる。
ところが、英語だけが「ふたぶラクダ化」したのである。
これは、英語が得意な層と、英語が苦手な層が、はっきりと分かれたことによって起きたと考えるべきだろう。
つまり英語成績の二極化が起きたのである。
文部科学省はそれを承知の上で、これに続いて英語4技能化を推進した。
結果として英語成績の二極化はさらに進むことになった。
もちろん、英語4技能化の効能もある。
英語が得意な人、もっとはっきりといえば、世界で通用する実用英語を運用できる人が増えたことだ。
一方で、早い段階から英語教育でつまづく人も増えた。
今や大学入試の大きな潮流となった「総合型選抜(AO)」や「推薦型選抜」では、TOEFLやIELTSといった英語外部資格試験成績の提出が義務づけられることが多い。国際系学部だけでなく理系学部でも必須となることが多い。
TOEFLやIELTSのハイスコアは、学校の英語授業だけではなかなか獲得できない。
ハイスコアを目指すなら、TOEFLやIELTSの受験指導ができる塾や予備校に通うか、長期の海外留学が実質的に必要になる。
あるいは帰国子女などのように英語圏で暮らしたことが有利になる。
もうお分かりであろう。
世界で通用する実用英語を身につけるためには、計り知れない費用が必要になるということである。
それを賄えるのは家計所得が高い一部の層だけになる。
幼いころから適切な英語の英才教育が受けられたか否かで、後の高等教育進学や職業機会の獲得に大きな影響が出るということでもある。
これを教育格差と呼ばずに、何と呼ぶべきであろうか。

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