[2016年7月26日]
少し前に出た本だが,こういう本がある。
「学力」の経済学
何か,学力があるとお金持ちになれる話のように見えるが,要するにちゃんと統計をとって教育を考えましょうという本。
経済学というのは統計学なのだ。
以前,テレビを見ていてたいへん不快に思ったのが,東大に自分の子供をことごとく合格させた親が尾木ママとやりあう場面。
東大にこどもを入れたのは,あなたの家の特殊な環境であって,その方法論に普遍性はないのに,尾木ママを否定していた。
そういう,基本的な失礼さと頭の悪さを持つ親の子が東大だという,かえって面白い画になってはいたが,教育というのは親が語るものではないと思うのだ。
ことわっておくが,私は尾木ママが大嫌いだ。
教育現場にいたにもかかわらず,教育について何もわかっていない,本質をはずしたでたらめな話ばかりしている。
先日,北海道で行方不明になった子の親に対して,頓珍漢な話をしてバッシングを受けていたのも記憶に新しい。
オカマっぽいしゃべり方で,マスコミ受けするから出演できているだけで,世の中の教育を良い方向に進める主張は全くしていない。
さて,そうであるにせよ,親が何人かのこどもを育てただけでは尾木ママ以下の頓珍漢なことしか語れないのだ。
少なくとも,多くのこどもを見てきた教職経験者に対して,えらそうに言う資格は東大生のママに全くない。
なぜなら,教育論は統計学だから。
教育は,こうやれば必ずこうなるというものではないが,統計的に,確率的に可能性を論ずることができる。
それがないと科学的な議論ができないのだ。
これもテレビでよくやるマヤカシだが,昨日もダイエットに30回噛むのがいいか50回噛むのがいいかというのを被験者3名でやっていた。
3名なんて,たまたま太ったり痩せたりするやろ?
それを見て,多くの視聴者はなるほどと思うのだろう。
それこそ日本の教育がうまくいっていない証拠だ。
統計というのをもっと教育の根幹に持ってくるべきだろう。
そういうわけで,この本には私がいつも思っていることがそのまま統計学的根拠に基づいて書かれていて気持ちよく読める。
よく,誉めて育てるというが,あれはかえって危険だったりする。
そういうことも書いてある。
ウチの塾ではめったに誉められることはない。
ブログ読者の親御さんに1つ紹介するとすれば,これは再三ここでも指摘しているとおり,
「勉強しなさい」と親が言っても効果がないか,むしろ逆効果
ということ。
そう,無駄だということが統計的に明らかなのだ。
それで,たとえばだが,ウチの塾の早朝指導などに来るのは良いということも,この本から読み取れたりするのだ。
これもよくでたらめな感覚で,「朝の方が頭が冴える」とかいう。
そういうことはウチの塾では謳っていない。
そんなの統計的に実証されてるの?
そうではなく,確かに効果が認められる「ある事象」を売っているのだ。
(理由はかんたんなことなのだが,ほとんど誰も気づいていない・・・)
買わなきゃ損!
にほんブログ村
にほんブログ村