[2016年9月13日]
生徒:英語の偏差値が下がってしまいました。勉強方法が悪いのでしょうか。
先生:そうだね,わかったつもりでいたけど,実はよく理解できてなかったところがあるかもしれないので,丁寧によく考えて勉強した方がいいよ。
生徒:きっちり辞書ひいて文法も押さえながらやってるつもりなのですが・・・
先生:前回の模試が良かったから油断して勉強時間が減ってるってことはないの?
生徒:いいえ,最近はむしろ勉強時間も増やして,いい感じで過ごしているつもりなのですが・・・
とか,
母親:あんた,今回は偏差値下がってるじゃないの!どういうこと?塾にも行かせてるのに,いいかげんにしてちょうだい。真面目にやりなさい!
子:塾の先生の言う通りにちゃんとやってるつもりなんだけど・・・
母親:じゃあ,その先生の指示が間違ってるか,教材が悪いのかもね。塾を変えてみる?
子:いや,べつにやってることは悪くないと思うんだけど・・・
母親:じゃあどうして偏差値下がるのよ?
子:・・・・
みたいなことがよくありそうです。
それで,オチを先に書いてしまうと,偏差値が下がる前の模試はベネッセの模試で,下がったという模試は河合塾の模試だったりするわけ。
このオチに納得感がない人は,偏差値が全くわかっていない人。
つまり,前に「偏差値は順位だ」と話した内容がわかっていないのです。
偏差値はあくまで全体(=母集団といいます)の中での順位を示します。
母集団が優秀なトップ校の集団だとすると,平均点くらいでも優秀です。
ところが,三流校だと,その中で上位にいてもたいして優秀でないわけです。
それで,模試によって,母集団の学力レベルが異なるという点をいつも頭に入れておかないと,偏差値が一人歩きしてしまい,冒頭のようなトンチンカンな会話が世の中にあふれてしまいます。
ベネッセの模試で偏差値55→河合の模試で偏差値52だったりするわけで,これならむしろ順調に他の受験生を追い抜いて順位を上げている成績です。
まあ,それを下がったと勘違いして,かえって精進することで,より一層学力が上がればいいですが,母と子の会話のように,間違ってうまくいっている塾をやめてしまう可能性だってあるので恐ろしいものです。
大学入試では,母集団のレベルは
ベネッセ<河合<駿台 というのが常識。
これも,わかってない人が使うと危険なのですが,ザックリいうと,
ベネッセの偏差値−河合の偏差値=5 くらいは普通にあります。
ベネッセの偏差値−駿台の偏差値=10 というのも普通です。
ですから,上位から下位までまんべんなく母集団を確保するために,ベネッセと駿台が共同で模試をやったりもしてます。
高校入試だと,大阪では五ツ木とVもしがよく比較されます。
これも,ザックリですがVもしの偏差値−五ツ木の偏差値=5くらいはよくある話です。
このような偏差値の差は,おおまかにイメージするのに用いてよいのですが,さらに細かい進路指導においては要注意です。
そのあたりは上級編になるので,今回は母集団のレベルによって同じ学力の人であっても偏差値は変わってしまうのだという,超あたりまえの事を押さえておいてください。
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