[2016年10月18日]
教育業界でも,よくICTの活用が叫ばれている。
ICTとはInformation and Communication Technologyの略。
要は,電子黒板とかタブレットとかを活用した教育をもっとやりましょうという話。
先日,立命館の塾生に試験範囲を見せろというと,タブレットを取り出して塾のタブレットに転送してくれた。
そういうことを普通にやっていこうとする学校がある一方で,旧態依然とした学校もまだまだ多い。
さすがに,手書きのプリントなどはほとんどなくなってきたようだが,パソコンがどうも苦手だという教員は非常に多いのだ。
特に,我々の世代がちょうど境界で,大学生の頃にパソコンをいじりはじめたのが我々世代。
今,55歳より上の世代は,おそらく大学でパソコンなどさわっていない。
我々といっても,一応理科系の方面だったので,パソコンについては早くから触れるようになったのだろうから,同世代であっても文系の人は少し下の世代までパソコンにはなじみがなかったと思われる。
つまり,実際上は,今の50歳より上の年代は,パソコンがよくわかっている人が非常に少ないのだ。
そして,今の学校運営の中核になっているのはもちろんその50歳代の人たち。
まったくパソコンなど,機械についてはトンチンカンで,むしろ避けて通ってきた教育人が,世間で考えられている以上に,非常に多い現実がある。
学校ほど,世間から隔離されていて平和なところはない。
パソコンのスキルがなくても,昔ながらの授業をずーっと続けてこられるのだ。
辞書でさえ,電子辞書でなく紙の辞書でなくてはダメという教師が多い。
今どき,生徒に買わせるのなら電子辞書以外に選択肢はないと思うのだが・・・
紙の辞書の良さはたしかにある。
それを力説するのはよいが,じゃあ,アンタ,電子辞書を使ったことあるのですか?
紙の辞書でないとダメという教師に限って,電子辞書を使ったこともなく,その良さを全く知らなかったりするのだ。
何かを否定するのなら,そのメリットとデメリットをちゃんと比較して論じないといけない。
そういう,基本的なことも避けて,とにかく自分が今までやってきた指導法ができなくなるのが困る一心で,紙の辞書をおススメしている教師がとても多いのだ。
さて,現状,ICT活用の研究授業やセミナーをいくら重ねても,なかなか学校での導入が進まない。
最大の理由は,今書いたように,実質的に物事を決める立場の人に理解がないこと。
それもあって,ICTに予算がつかないことが最大のネックだ。
パソコンやタブレットも生徒の数だけそろえるには相当の費用がかかる。
各教室にネット環境を導入するだけでも配線に費用がかかる。
そして,最も活用効果があるのが電子黒板だと思うが,プロジェクターで投影するような電子黒板モドキではダメ。
ちゃんと,シャープのビッグパッドみたいにハッキリくっきり見える液晶大画面でないと意味がない。
それも教室に60インチでは小さすぎる。
最低でも70インチ,実際に実用的なのは80インチだろう。
そういうのって,1台で100万円以上かかるのだ。
とりあえず,教室が20あれば2000万円では足りない。
少なくとも3000万円以上はかかる。
さらに,毎年の保守など,維持費もかなりかかる。
お金がないとそもそもできないのがICT教育なのだ。
そして,せっかく環境が整っても,使える教員が育っていない。
学校に一人や二人はできる人がいるだろうが,まあ,それをやったから給料が増えるわけでもなく,誰も今の教え方から変えようなどと思わない。
教師たちの楽をしようという執念をなめてはいけない。
残念ながら,そういう教師ばかりの学校が95%を占めているのが日本の現状だといって間違いないのだ。
ちなみに,ヒミツにしているのだが,ウチの塾には70インチのビッグパッドがちゃんとある。
浪人生を中心に,いつも普通にこれを活用して授業をやっている。
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