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尾崎塾
富田教室

[2016年12月15日]

調査書あれこれ

大学入試で必ず必要な「調査書」っていうやつ。
何が書いてあるのでしょうか。

どの高校も文科省の様式どおりに作成しています。

img1

氏名や入学年,取得単位や成績,出席日数など,ひととおり決められたことが書かれているのです。

それで,本人が絶対に開封しないように封緘印が押されています。

なぜ本人が開けないようにするかは,そりゃ,成績などを改ざんしないようにでしょうが,実は他の意味もあるのですよ。

たとえば,とある私立高校は,生徒に成績を開示していないのです。
どういうことかわかりますか?
いや,通知表があるから開示していると思っているでしょう。
本当は,通知表の数字と正式書類=指導要録の数字が異なっている場合があるのです。
(というか,異なっているのが普通でしょう)

あまり世間に知られたくないので,このようにヒミツを守っているのです。

最近でもよくあるじゃないですか。
世界史の教科書を開いていないのに,どういうわけか履修したことになっているとか。
通知表には実際に行われている授業の名称で成績がついているのです。
しかし,指導要録には必修科目の単位を履修したことにするため,必修科目の単位に振り替えられていたりするのです。

今でも普通にやってますよ。
理科の基礎科目の名称が必須なのですが,理系志望者のことを考えて専門理科を実際はやっていたりします。
でも取得単位は基礎科目だったりします。
厳密に言うと,基礎科目として開講している時間に,内容としては専門科目がほとんどであったら,その基礎科目は内容を満たしていない(超えすぎている?)わけだから未履修です。
あるいは,世界史Aというのが正式な単位名称でも,実際の授業では世界史Bをやっている学校は多いと思います。

本来,Aの授業なのに難しいBの授業をしておいて,それで欠点だったら落第などとできるのでしょうか。
そんなことできませんから,通常は欠点者には課題を与えるなどして救済するのです。
絶対に留年などとさわぎを起こしてはいけません。
未履修みたいな問題が公になってしまいますからね。

それから,評定も,生徒に伝えているのと異なる場合があります。
だって,難しい試験をしておいて,点数が低いからと言って評定を低くすると推薦入試のときに生徒が不利になります。
少しでも合格者を増やすために,多くの学校では生徒に伝えているより甘く評定をつけるのです。
いわゆる下駄をはかせているのです。

これは生徒には知られたくありません。
あの点数でも5がつくのなら,そんなに頑張らなくてもよかったとなりますから。
授業は厳しくしておいて,実は裏で甘く評定をつけていたりします。

本人が評定3.7しかないので,指定校推薦を受けられないと思っていたら,実は4.0あると高3で聞いてびっくりという話はよくありそうです。

大学側は,それをわかっているので,評定の人数比をちゃんと確認します。
全員の評定が高ければ,大学側でしっかり割り引いて評価されるので,結局意味ないのですがね。

もっと親切なのは,出欠の記録欄。
もちろん,ちゃんと出席した日数を記録されているのですが,特別な場合は手を加えます。

不登校生徒で,出席日数が足りない場合,保健室登校もカウントされたりしますね。
それ,本当はダメだと思うのですが,教育的配慮で出席扱いです。
よく,試験の後など自宅学習日などとなっている日は,学校に行ってないのに出席扱いだったりします。
不登校生徒にとってはありがたい日です。

残念なことに万引きとかタバコ・バイクなどで停学処分を受けた生徒たちはどのように記録されるのでしょう。
正式には停学処分で学校に登校できない日数は,インフルエンザと同じで「出席停止」と表記されます。
インフルエンザなら数日の欠席があっても目立ちません。
停学を10日とか2週間とか食らったら,ちょっとバレそうですね。
そういう場合,思い切って出席停止を無かったことにしてくれる場合がありそうです。
どうせ大学はそこまで調べませんから。
それくらい親切に,受験生に有利に改ざんされることがあるので,カンタンに生徒に見られては困るのです。

あとは,生徒の所見ですが,これはどの生徒さんも模範的な生徒として書かれますから大丈夫。
やんちゃで先生に反抗ばかりしていても,闊達で自分の意見をしっかりと主張することができる人物として書いてあります。

このように,基本,生徒の不利にならないように甘く書いてあるのが調査書だと思って間違いないです。
(ただ,100人に1人くらい悪く書く先生もいますが,それはどうしようもありません)



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