[2017年4月7日]
今年から神戸大学に国際人間科学部が新設されました。
流行の「国際」がついているし,「人間科学」も興味を持つ人が多いので,人気が出るに違いありません。
みんな得意の英語を生かせますよ〜♪
でも,この学部,どうしてできたか,事情通の私がちょっと教えて差し上げます。
(ってか,事情通でも何でもなく,ちょっと考えたらわかる話)
昔,神戸大学に教育学部があったとさ。
それで,どういうわけか,兵庫教育大学というのが,不便な田舎にできたとさ。
誰かが「同じ県に2つも国立で教育学部必要ないよね」とつぶやきました。
かくして,神戸大学から教育学部をなくす決定がなされました。
さて,神戸大の教育学部の先生達は,その後どうしたらいいの?
クビになるの?
大学としてもクビにするわけにもいかず,先生達は余ってしまいます。
なので,新しい名前の学部を作ることにしました。
もともと教育学部の先生ばかりですから,生徒こどもの発達についての研究をしています。
そう,「発達科学部」になりました。
このように,大学の新しい学部は,先生達をクビにするわけにいかないのでそのために作られるのです。
昔,神戸大に限らないけど,教養学部というのがあったとさ。
大学って,最初の1年半は教養を学ぶルールでした。
理学部の地球科学科に入っても1年半は専門の地学は勉強せずに,英語や日本史や心理学や政治学や体育や,あるいは数学や化学や哲学などなど,一通りの教養を身に着けるのです。
いやあ,その教養部というのは単位認定もゆるかったので,ほとんど授業に出なかったなぁ〜
毎日昼間からテニスコートにいた記憶しかない・・・
ま,それは置いといて,
時代は変わり,せっかく専門的な勉強をしに大学に入ったのだから,1年次からちゃんと専門の勉強をしようという動きになりました。
(どーせ一般教養なんか勉強しない学生ばっかだしね。)
誰かが「教養部っていらなくね?」とつぶやきました。
教養部廃止が決定!!
さて,教養部の先生達は困りました。
クビになるの?
いえ,そんなことはありません。
雇用は守られるのです。
新しい学部作っちゃえ!
学生のほぼ全員が必須単位だった語学の先生が多かったので,得意の語学力を生かして国際的な何か教育ができるかも。
ちょうど時代もそういう流れだし。
かくして「国際文化学部」が誕生しました。
教養部の先生の雇用を守ることができたのです。
さて,神戸に商船大学というのがありました。
もう時代が船でもないのですが,船専門の大学=商船大学というのがあったのです。
東京にも商船大学がありました。
時代が変わって,それだと募集しても学生が集まらないので,東京海洋大学と名前を変えて生き残っています。
神戸商船大はというと,自分とこだけで独立採算する道を断念したのです。
なんと神戸大に吸収合併してもらうという新手の生き残り方をしました。
名前は船をはずして「海事科学部」として,なんだか普通に海洋の研究をする風体にしてみたものの,最初は不人気。
でも,神戸大というブランドがあるので,徐々に良さげな学生も集まりだしました。
まさか,このことが自分の身に降りかかるとは,「発達科学部」の教員も「国際文化学部」の教員も夢にも思わなかったでしょう。
つい数年前,誰かがこうつぶやいたのです。
「神戸大って,学部多すぎじゃね?」
\(◎o◎)/!
かくして,学部を一つ減らすことが決定しました!
最初に目をつけられたのは,あとから取ってつけた学部。
そう,海事科学部をたとえば工学部とか理学部の中の学科に位置付ければよいという案が出されます。
みんなそれでよいと思ってました。
ところが,賢い人がいて,海事科学部がある意味国家的なプロジェクトを担う仕事を見つけてきたのです。
国家的なプロジェクトをやるスゴイ学部をなくして,学科に降格などさせられません。
じゃあどうする?
はい,そうですね。
どちみち教員の雇用確保だけのためにつくられた2つの学部をいっしょにしちゃえばいいやん!
というわけで,今春新たに「国際人間科学部」ができたのです。
国際なんちゃら学部って,そういうものなのです。
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