[2018年5月23日]
とある中学校の考査範囲のプリントです。
余白に「名言」?が書いてあります。
「やる気がある時なら誰でもできる。本当の成功者は,やる気がない時でもやる。」
だそうです。
ドクター・フィルという心理学者さんの言葉です。
一見すると,中学校の先生が生徒を少しでも勉強に向かわせようという内容です。
それはいいのですが,よく考えるとツッコミどころ満載だったりします。
まず,このドクター・フィルさんは,かなり厳しい方のようで,精神病でも何でもいいから,つべこべ言わずにとにかくやりなさいということです。
世間の誰もあなたの言い訳を聞きたいのではないですからね。
ひょっとすると,厳しいと評判のウチの塾よりも厳しいです。
やる気がなくても,やる人はちゃんとやるんだということは,逃げ場を塞いでしまってますね。
ウチの塾はやる気のない人は来ないでいいですし,べつに勉強しなくてもいいという,逃げるのを推奨する塾ですからね。
ですが,人生をよくしようという意欲,やる気のある人にとっては,非常に過ごしやすい環境となっています。
やる気がない状態でもやるというのは,相当に精神力が強くないと無理でしょう。
だから,本当の成功者はそれができるのです。
逆に言うと,世の中のほとんどの人は,本当の成功者と呼ばれるほどの成功はしていないのです。
だから,やる気のないときにできるようなら,その時点で特異な能力を持っていることになりそうです。
だから,やる気のスイッチを押してくれる塾に行ったりするんです。
また,本当の成功者というのはどれくらいの人数を母集団としているのでしょう?
このフィルさんが実際に心理学的に分析した多くの人を母集団として,その中で有意に高確率でやる気のないときにもやっているという結論を導きだした?
ってか,このフィルさん自身も本当に成功した部類の人でしょうから,実感としてそうなのかもしれません。
その実感が入っているとすると,その人たちのやる気がない状態は,一般人のやる気のある状態よりもやる気があったりしませんか?
我々のように,日々,普通の中学生や高校生を見ていると,やる気の程度にバラツキがあることがわかります。
同じ「やる気満々」でも,10時間続けて勉強できる人もいれば,30分で満タンだったやる気を使い果たす人もいるのです。
超絶優秀な成功者は,やる気が10%であっても,ショボい一般人のやる気満々よりも実はやる気の絶対量が多かったりしそうです。
さらに,「やる気がある時なら誰でもできる」が怪しいのです。
やる気はあるんだけど,何から手をつけていいかわからないとか。
やる気はあるけど,体がついてこないとか。
仮にやる気があったとしても,普通の人は誰でも実際に100%行動できるかどうかは微妙なのです。
そういうわけで,せっかく試験前のプリントに書いてある名言が,実はほとんどの生徒の目には留まっても,行動にはつながらないのではないかという残念な予想。
そもそもの話ですが,このフレーズを英語で見ると
Anyone can do something when they WANT to do it. Really successful people do things when they don’t want to do it.
のように記述されているようです。
「やる気がない時でもやる」という翻訳が,フィルさんの言いたかったことと「乖離」している可能性はないでしょうか?
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