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尾崎塾
富田教室

[2022年2月4日]

歪みを考える

昨日の数学に出て来る「ゆがんだ」話ですが,真相がわかってきました。


まず,茨木市で一番有名な(当社調べ)数学の先生に聞いたところ,指導書を見せてくれて,そこには「右に裾野が長い分布」が「右に歪んだ分布」とよばれると書いてありました。

裾野だったの???

この指導書を書いた人はどういう感性をしてるんでしょうか?


たぶん,そうじゃないですね。

少々苦しい書き方になってるのは理由がありそうです。


ちゃんとした統計の用語として「歪度」というのがあります。

もちろん,中学生の指導要領には歪度を教えるなどということは書いてありません。

でも,東京書籍の著者は,歪度を念頭に教科書執筆していたのです。

歪度は分布の平均値が最頻値より大きい時に正となるような値と定義されています。

img1
図で,最頻値は山のてっぺん。

平均値は,だらだらと右へ分布している値に引っ張られてその右側になります。

ちなみに中央値はその間にくることになる。


このような形になると,「歪度が正である」といいます。

度数の正の向きは右向きなので,歪度が右だという解釈もできます。

それで,業界では「右に歪んでいる」という言い方が定着したのでしょう。

つまり,右にゆがんでいるのは「形」ではなく「数値」というわけです。

形がゆがんでいるのは,どうしても山が左に行ってるので,「左にゆがんだ形」です。

ですが,教科書執筆者は形のことを言ってるのではないのです。

中学2年生に「歪度」という用語は使えません。

それをわかりやすい「ゆがみ」に代えて,ゆがみの数値が右だという意味で「右にゆがんだ分布」と書いたのでしょう。


おそらくこの推理で間違いない。

一件落着・・・・



とはならないですよ。

そもそもの話,もしそういう理由で歪度を持ちだして教えるとしても,あの分布で「右にゆがんでいる」と言えばおかしいと思う生徒が続出するのが予想できなかったわけ?

数学的な言い換えは正しいとしましょう。

でも,それは一般の感覚の逆になるのでダメだという校閲者はいなかったのですか?

想像するに,きっとその部分はとても「えらい先生」が執筆なさったので,校閲者が改めるように言っても聞いてもらえなかったのかも。

だって,数学的には正しいんだもーん。


いずれにしても,被害者は生徒たちです。

こういうのって,ホントに危険なことを孕んでいるのがわからない?

つまり,この1件だけでも「数学おもろない!」ということで数学嫌いを増やしてしまうのです。

どう見ても「形」は左にゆがんでるのに,先生は逆のことを言う。
あの先生嫌い。数学も嫌い。

そうならないように,茨木市の数学の先生方,なんとか頑張ってください。









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