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尾崎塾
富田教室

[2010年10月24日]

本当にわかるということ

先日中学生に出題した問題。

「地図上で地震のゆれ始めの時刻が同じ地点を曲線で結ぶとどんな形になりますか。」

これはほぼ全員「円」と正答する。

地下がほぼ均質なら地震波は同心円状に等速で広がるからだ。

ところが,

地震のゆれを観測した地点と震央の位置を示した地図上に,○時○分○秒に初期微動が始まったと考えられる点を描かせる問題をやらせると,ちゃんと「円」を描く者が10分の1に減ってしまう。

要するに,はじめの問題は答えを覚えているだけであって何も理解できていないのだ。どんな形かを聞かれてテキトーに「円」と答えたり,最近やった同様の問題の答えが「円」だったから,その記憶から答えているのだろう。

本当にわかって答えてはいなかったのだ。

地図に円を描くだけなのに,どこかの地点と震央を結ぶ直線や曲線を描く者がたくさんいる。ご丁寧に地震っぽくギザギザの線にする者もいる。こういう答案は,ふんいきだけで描いているのだろう。

この問題をやらせたのは,おそらく世間では中の上に位置する生徒たちだ。しかるに,普通の公立中学ではさらに程度の低い生徒の方が多いのである。理科の授業が成立する方が奇跡だ。

誰かのせいにするわけではないが,おそらくは小学校の理科教育の貧弱さがこういうところに出てくるのではないか。もう少しマシな中学生をつくっていかないとこの国は果てしなく衰退していくと思う。

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