[2010年12月8日]
各国の15歳を対象に2009年に実施した国際的な学習到達度調査の結果が出た。今回は過去最高の65カ国・地域が参加。「読解力」では、日本は前回06年の15位から、最も順位が高かった00年と同じ8位に回復した。「科学的リテラシー(応用力)」は5位(前回6位)、「数学的リテラシー」は9位(同10位)。低落が続いていた日本の順位が初めて上昇に転じた。
単に順位が上昇したから「学力回復」という見出しをつけた新聞記者は皮肉にも「読解力」がない。表面的な数字だけしか見えていないのだ。
順位が上がっても学力が下がっている可能性もある。世界的に絶対的な学力が低下しているのかもしれない。
また,今回は国ではなく地域が参加している。トップの上海は富裕層が多く,教育意識の高い都市。そんなところと国全体の学力レベルを比較すること自体意味がない。
昨日テレビで取材されていたが,上海のある学校では始業の1時間前から生徒が学校に行って宿題の確認をし,授業は8時間とか9時間あって,その後も残って勉強するので家に帰ると夜の10時とか。
これは日本の学校では考えられない充実ぶりだ。
日本の,特に都市部での生徒の学力を支えているのは「塾」だということも忘れてはいけない。公教育の力とは別の力が日本の教育力を支えている。諸外国は知らないが,この点でも単純に「日本」の学力といって喜んでいいのか疑問である。今回の順位が少し上がったということに安心し,公教育の立て直しに目が行かなくなることを懸念する。
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