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尾崎塾
富田教室

[2011年1月24日]

まだまだ本物を見せることが大切

東京の小学校でこどもたちが1人1台のタブレット型パソコンを使って、理科の星の動きを学ぶ授業が公開されたとの記事(毎日jp)。この日は4年生の理科で、それぞれが観察したオリオン座の動きをパソコン画面に描き、電子黒板に映し出して発表した。

私の基本的なスタンスは,文明の利器はどんどん使っていくのが良いと思っている。パソコンが使えないようではこの先の人生で非常に困るだろう。

この小学校は非常に先進的でよく頑張っていると思う。しかし,オリオン座の発表をパソコンでさせる意味はほとんどないといえよう。公開するため,あるいはパソコンを使うための授業と言ってもいい。本末転倒なのだ。

すばらしいと思うのは,観察したオリオン座を発表したということ。当然観察したのは夜だろう。各自,寒い中自分の眼でオリオン座を見ることが何より大切なのである。それができているのなら,これはすばらしい。

しかし,それを一人一人タブレットに描いて,みんなの前で発表してどうするのか?そのすばらしい授業とやらを見ていないので,(これも本物を見ていないので)わからない。
オリオン座がどう動くかのシュミレーションソフトがあるようだ。
どうもそれを使いたいからそのような授業展開にしていると思われる。
せっかく実物を見ているのなら,オリオン座のすぐ近くにあるシリウスや,同時に西の空に見えている木星も見て欲しい。そういう指導をされているのだろうか?

その先生自身が夜空を見て,あれが木星だとわかるのだろうか?
本物の星空をちゃんと見れない教師がパソコンソフトで生徒に星の動きを教える。私にはどうしても違和感が残ってしまうのだ。

パソコンのシュミレーションが威力を発揮するのは,本物を見て理解していることがベースに必要なのではないか。パソコンで何でも見てわかった気になっても非常にうわべだけの知識しか得られないように思う。

要するに,教育ソフトはまだまだ開発途上である。この小学校の取り組みは先進的ではあるが,研究の余地はまだまだあるといえよう。

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