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尾崎塾
富田教室

[2011年1月31日]

なお本物を見せることが大切

霧島の新燃岳が危険な状態になりつつある。

溶岩ドームが成長しているようだ。

爆発的噴火をする火山のマグマは二酸化ケイ素の含有率が高く,非常に粘性が大きい。なので,マグマが簡単には流れ出ずにドーム状に盛り上がっているのだ。

これが次の噴火の際にはじけるとどうなるか。

火砕流が発生するのだ。

先日のセンター試験でも出題されたが,火砕流は火山灰・砂などの固形物とマグマに溶けていた火山ガスが混然一体となって高速で山の斜面を流れ下る現象。しかもその温度は500℃以上。なんと時速100kmにも達するので,やばいと思ってから逃げてもダメなのだ。

なので避難勧告が出た。

ホント,早く逃げた方がいい。

雲仙普賢岳でも何人も死んでいる。

火山の災害で最も多くの死者を出している現象が火砕流なのだ。

先日も書いたが,火砕流というのは本気?で頑張れば雲仙の火砕流よりもはるかに大規模になる。

この写真を見て欲しい。

img1
これは5年前に私が霧島の火山を見学しに行った時のもの。

付近に積もった火砕流の堆積物は10mくらいあった。

いわゆるシラス台地というのは,このように大量に積もった火砕流台地なのである。

崖の下から上まで10mくらいあって,これが一度に積もるわけだ。その辺の街なんて完全に埋まってしまう。

そんな危険性のある火山なのである。

こういう崖を実際に見ると,噴火のスケールの大きさが実感できるだろう。これは写真で見てもなかなか実感できないものだ。

大阪付近に今は活動的な火山がないが,宝塚のあたりや奈良の室生のあたりでは過去の大規模火砕流堆積物を見ることができる。そういったものをたとえば学校の遠足などで見せるようにしていけば,日本全国民の防災意識も少しは高められると思うがどうだろうか。



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