[2011年2月9日]
明日は大阪兵庫京都の私立高校で一斉に入試が行われる。
これは公立高校が前期と後期に一斉に入試を行うのとは全くわけがちがう。
本来,私学は独自に日程を決めて入試を行っていいはずだ。
生徒も複数の高校を受験して,最も行きたいところを選択できるようにしたいはず。
なのに,現行制度では中学の教師に君はここは無理でここなら行けると割り振られてしまう。
知識のない保護者・生徒はそういうものだと勘違いしてそのとおりに受験する。
結果的に,大阪で私学を受験してもほぼ不合格になることはない。
ここ何年も,私立高校の合格率を見てみるとよい。
第一志望のコースに合格するかどうかは別にして,まわし合格の制度があるので少なくとも最下位のコースにもひっかからない例は少ない。どの学校もほぼ98〜100%の合格率なのだ。(星光なんかは別ですが・・・)
公共事業を請け負う業者が予定価格の99%でいつも落札する。
これを談合という。
この請負業者は適正に価格を設定したらそうなっただけだ。
談合ではないと言い張る。
私立高校の入試はこれと似ている。
これで誰も損をしないからいいではないかと主張する人もいる。
そうだろうか?
生徒が自分の力を最大限に伸ばして,どのレベルまでいけるかチャレンジする機会をはく奪しているのがこの制度なのだ。
なので,上昇志向の人間にとっては非常に面白くない制度だ。
一方で,中くらいの成績で,特に進学意欲もなく,平凡な人生を送れればいいという生徒には,この上なく安全・安心な制度である。
中学の先生の言ったとおりに受験すれば,絶対に不合格になることはない。
まあ,生徒の利益はこの程度のもので,決定的なものではない。
実は,この制度の根本的理由は中学の教師の怠慢と高校側の思惑なのだ。
私立高校からすると,過当競争がなくなり,安定して毎年の受験生が確保できる。倒産する可能性が低くなるのだ。横一線で競争すると受験生は人気校に偏って,私立高校の半分くらいは潰れるのではないか。
中学の教師のメリットは,学力をつける指導をしなくてすむ点もあるが,事務処理が楽になるという点が大きい。一人が3つも4つも受験すると,それだけで仕事が3倍4倍になる。中学の教師って,授業でさえもそうだが事務処理の仕事なんか大嫌いだ。なので少しでも楽をしたい。一人1校しか受けないというのは非常にありがたい。なのでこの制度に文句を言う教員は皆無だ。
こんなことを書いている塾って,公立中学の先生や高校の先生方から見るとたいへん「煙たい」存在だろう。しかし,生徒・保護者の立場で考えるとおかしなことになっている。それは正していくべきだと思うのだ。
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