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尾崎塾
富田教室

[2011年3月20日]

地学を学ぶ必要性

昨日の地学の授業内容は放射性崩壊,核融合,核分裂。

地学では必須の知識だ。

岩石や地層,化石の年代測定には放射性同位体の半減期を利用する。原子核が自然に崩壊していく過程でα線,β線,γ線が放出される。

太陽の中心部では核融合反応が行われている。その際に水素からヘリウムが生まれ,さらに太陽が進化した後には鉄までの重元素が合成されていく。

太陽の8倍以上の質量を持つ恒星の最期に超新星爆発があり,そのときにウランのような鉄より質量の大きな重元素が生まれる。

さて,ウランのような大きな元素はそれ自身不安定で,放射性崩壊をしていくが,中性子を吸収するとたちまち不安定になって核分裂を起こす。直接地学の教科書的な話ではないが,関連事項として指導した。

中性子の速度を適度に制御してウラン235の核分裂をさせるのが原発である。分裂したあとの元素は放射性同位体となり,放射線を出しまくる。いわゆる死の灰というものである。

原子爆弾のウランと原発のウランは同じようなものだと考えがちだが,濃縮の度合いがかなり違うので,原発の燃料で原爆のような爆発は起こらない。でも世間の人はみんなそれを恐れているようにも思う。そのあたりをちゃんと報道して伝えないといけないと思うが,あまりなされていないようだ。

地学の授業を受けると,このように今必要とされている知識を教養として身に着けることができる。全国の高校1年生くらいで必修科目として学ばせるようにすれば原発の何が危険でどこまで安全かを自分の頭で判断できるようになっていく。今は,何の知識もないまま大人になっていくので,わけもわからず不安に思って不必要な不便さを生み出している。

環境とかエコとか,流行にまどわされるような教育は本物ではない。今回の震災で明らかになったように,人も街もなくなってしまってはエコとか言ってるのは無意味になる。地震,津波はもちろん,豪雨や土石流など自然災害をどう考えて安全に暮らすか。そういったことを勉強することをした上でエコとか好きな勉強をすればいい。


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