[2011年3月23日]
「偏差値は悪くない!」
と言うと,偏差値が60とか70とかをイメージしますか?
そういう意味ではなく,「偏差値教育」に代表されるように偏差値で輪切りにするような発想を批判する人がよく使うセリフ,
「偏差値なんかで人間は測れない。」
みたいに,偏差値そのものが悪者にされるような場合がある。
でも,偏差値は単に統計的な値であって偏差値に罪はないのである。
だから「偏差値は悪くない!」と弁護してみた。
過去に生徒の偏差値について,他の先生と分析する機会はたくさんあった。しかし,まともに議論できたことがない。
だって,相手の先生方で偏差値の意味がわかっている人って,ほとんどいなかったから。
だいたい,偏差値を0.1刻みで算出する意味が全くない。
測定誤差の範囲に完全に埋もれているのだ。
では偏差値が1上がったのはどうか。
これもほとんど無意味。
2なら?3ならどうか?
こういう質問は答えようがない。
10上がってもタマタマかもしれないし,2上がったのは実力が反映しているのかもしれない。
だったら,模試なんて意味ないじゃん!と言われそうだが,全体としては傾向がわかるので,全く意味がないわけではない。
しかし,模試の成績で出す判定はほとんど個人の成績にとって意味がないと思っている。
よく勉強して議論してほしい。
あくまで偏差値は統計なのだ。
A判定のついた人が100人いたら80人が合格しますということ。
しかし,その大学の入学定員が8名だとして,10人中8人が合格となるとは限らない。
センター試験の平均点の影響もあって,上位者が安全校として4人くらい来たらたちまち合格枠が減ってしまう。
そもそも,判定の基準は昨年の受験生だから,今年はどうなるかフタを開けてみないとわからない。
そもそもの基準はこんな風に決められる。
昨年偏差値50の人が4人落ちて1人合格。
偏差値55の人が3人受けて2人合格。
よし,ここは52.5をボーダーと決めよう!
そうやって決められたボーダーであるが,偏差値52.5の人はC判定,52.4の人はD判定なのだ。そしてD判定の人は自分には難しいのだと勘違いして志望校を下げたりする。
統計という装いだが,元のデータが10例くらいしかないことも多い。だから担当者が感覚的に決めているのがボーダーラインなのだ。
模試は多くの真面目な受験生に自信をなくさせて,志望校を下げさせる。かくして,上位者は逆転される心配が減り,悠々と合格していくのである。めでたしめでたし。
実際は,その日に出題された問題との相性もあるし,志望校の出題形式とも全く違っていたりもする。これも以前書いたが,配点や採点基準は模試と入試では全く違っていたりする。いくらでも逆転現象が起きうるのだ。DとかE判定の者はあきらめたら負け。今からしっかり頑張れというエールだと思って勉強すればいいのである。
学校の先生方には偏差値とその判定を崇拝している人が多い。
偏差値の意味を勉強していないので「信じる」しかできないのだ。ウソだと思ったら,どの先生にでもいい,「偏差値の計算の仕方を教えて下さい。」と聞いてみたらわかる。
「いやあ,君にはちょっと難しいから・・・」などとごまして,10人中10人が答えられないから。(数学の先生でも同じです。)
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